結論、雇用関係の助成金は雇用保険の被保険者である労働者を雇用していることが前提となるため、社長1人(役員のみ)の会社は対象外になりやすい。一方、従業員を1人でも雇用していれば使える可能性がある制度は複数存在し、補助金の一部は1人でも申請できる。
助成金の対象になるための大前提|雇用保険の被保険者
雇用関係の助成金の多くは、事業主が雇用保険の適用事業所であり、対象となる労働者が雇用保険の被保険者であることを前提に設計されている。これは助成金が「雇用の維持・拡大」や「労働環境の改善」といった政策目的の達成を支援する仕組みであるためであり、雇用される労働者が存在しなければ、そもそも制度の趣旨に当てはまらないことが多い。
したがって、少人数企業が助成金を検討する際は、まず自社に雇用保険の被保険者となる従業員がいるかどうかを確認することが出発点になる。役員だけで運営している段階と、従業員を雇用した段階とでは、活用できる制度の幅が大きく変わる点を理解しておくと、事業のフェーズに合わせた資金調達の選択肢を検討しやすくなる。
社長1人(役員のみ)の会社が対象外になりやすい理由
代表者1人のみで運営されている会社の場合、役員は原則として雇用保険の被保険者にならないため、雇用関係助成金の対象労働者に含まれないことが多い。役員は労働基準法上の労働者ではなく、会社と委任契約の関係にあると整理されることが一般的であり、これが対象外になりやすい理由である。ただし役員であっても実質的に労働者性が認められるケースなど、個別の判断が必要な場面もあるため、詳しくは助成金申請と役員・取締役の扱い【2026年版】|役員は対象労働者になるのかを解説で整理している。
従業員1人からでも使える可能性がある制度タイプ
従業員を1人でも雇用している場合は、状況が変わる。有期雇用労働者を正社員に転換した場合に支給されるコースや、従業員に対して職業訓練を実施した場合に支給されるコース、育児休業からの復帰を支援するコースなど、対象労働者が1人であっても申請できる可能性がある制度は複数存在する。もちろん、コースごとに定められた要件を満たす必要があるため、対象者の雇用形態や勤続期間などは個別に確認したい。
役員は「対象労働者」になるのか
役員が対象労働者になるかどうかは、助成金の実務でしばしば疑問に挙がる論点である。一般的には、代表権や業務執行権を持つ役員は労働者として扱われないため対象外とされることが多いが、非常勤役員や名目的な役員など実態によって判断が分かれる場合もある。自社の役員構成が該当するかどうか迷う場合は、最新の支給要領を確認するか、専門家に相談する選択肢も検討したい。
これから採用する予定がある場合の考え方
現在は社長1人であっても、今後従業員を採用する計画がある場合は、採用のタイミングに合わせて活用できる助成金を事前に把握しておくことが有効である。たとえば採用後に一定期間の試行雇用を経て常用雇用へ移行する仕組みを活用するコースなど、採用計画と組み合わせやすい制度もある。採用前から制度を理解しておくことで、要件を満たす雇用形態や手続きのタイミングを逃さずに済む。
補助金は1人でも申請できる制度がある
助成金が雇用保険の被保険者を前提とするのに対し、補助金は事業者そのものを対象とする制度が多く、従業員がいない個人事業主や社長1人の会社でも申請できるものがある。代表的な例が、小規模事業者の販路開拓等を支援する補助金である。申請の流れについては小規模事業者持続化補助金の申請方法|商工会議所への相談から採択までの流れ【2026年版】にまとめている。また、個人事業主が法人化した場合に使える制度が変わる点については個人事業主が法人化すると使える助成金は変わる?【2026年版】法人成り前後の制度の違いも参考になる。
企業規模と助成金・補助金の関係を整理する
助成金の対象になるかどうかは会社の資本金や従業員数といった「中小企業」の定義とも関係する場面がある。業種ごとの基準を確認したい場合は助成金における「中小企業」の定義とは|業種別基準(資本金・従業員数)の一覧【2026年版】を確認しておくと、自社が対象になりうる制度の範囲を把握しやすい。従業員数が少ない企業ほど、対象になる制度の見極めが難しくなりがちであるため、社会保険労務士や助成金コンサルティングといった専門家に相談する選択肢も有効である。
少人数企業が申請前に整えておきたい体制
従業員数が少ない企業ほど、助成金申請に必要な書類整備や制度の見極めを担当者一人で抱え込みやすい傾向がある。まず取り組みたいのは、雇用保険の適用状況や労働保険料の納付状況といった基礎的な事項の確認であり、これらが整っていなければ、そもそもどの制度も土台に乗らない。次に、就業規則や雇用契約書が最新の実態を反映しているかを見直し、今後の採用計画がある場合はその内容も踏まえて、対象になり得る制度を早めに洗い出しておくとよい。
少人数企業では、経営者自身が労務管理から資金調達まで幅広く対応しているケースが多く、制度ごとの細かな要件確認に十分な時間を割けないことも少なくない。そのような場合は、無料の受給額シミュレーションを活用して自社が対象になり得る制度の概要を把握したうえで、必要に応じて社会保険労務士や助成金コンサルティングに相談し、書類作成や進行管理を任せる選択肢も検討したい。経営者の負担を抑えながら制度を活用できる体制を整えることが、少人数企業にとって現実的な進め方になる。
また、採用を機に制度活用を始める企業も多いため、採用計画を立てる段階から、雇用形態や勤務条件が助成金の要件に合致するかどうかをあわせて検討しておくと、採用後にあらためて制度を探し直す手間を減らせる。
企業規模別に見る制度の使いやすさ
| 企業の状態 | 雇用関係助成金 | 補助金 |
|---|---|---|
| 社長1人(役員のみ) | 対象外になりやすい | 対象になりうる制度がある |
| 従業員1人以上 | 対象になる可能性のあるコースが複数ある | 対象になる制度が広がる |
| 従業員複数名 | 選択できる制度の幅が広がる | 選択できる制度の幅が広がる |
役員・従業員の助成金上の扱い比較
| 区分 | 雇用保険の被保険者性 | 対象労働者になりやすさ |
|---|---|---|
| 代表権・業務執行権を持つ役員 | 原則として被保険者にならない | 対象外になりやすい |
| 非常勤役員・名目的な役員 | 実態により判断が分かれる | 個別確認が必要 |
| 正社員・契約社員・パート従業員 | 要件を満たせば被保険者になる | 対象になり得る |
よくある質問(FAQ)
Q1. 社長1人の会社では助成金は一切もらえませんか。
雇用関係助成金は雇用保険の被保険者となる労働者の存在を前提とするものが多く、役員のみの会社では対象外になりやすい。ただし補助金の一部は1人でも申請できる制度があるため、資金調達を検討する際は助成金に限らず幅広く選択肢を確認したい。
Q2. 従業員を1人採用したら、すぐに助成金は使えますか。
制度やコースごとに雇用形態・勤続期間などの要件があるため、採用直後にすべての制度が使えるわけではない。個別の要件を確認する必要がある。一定期間の雇用継続や試行雇用の実施が前提になるコースもあるため、採用計画の段階で見通しを立てておくと安心である。
Q3. 非常勤役員は対象労働者になりますか。
実態によって判断が分かれるため、一律には言えない。業務実態や報酬の性質などをもとに個別に確認することが望ましい。
Q4. 個人事業主でも申請できる制度はありますか。
補助金の中には個人事業主でも申請できるものがある。雇用関係助成金は従業員の雇用が前提になることが多い点に注意したい。法人化を予定している場合は、法人化の前後で使える制度が変わることもあわせて確認しておきたい。
Q5. 少人数企業が制度選びで失敗しないためにはどうすればよいですか。
自社の従業員数や雇用形態、今後の採用計画を整理したうえで、無料の受給額シミュレーションや専門家への相談を活用すると、対象になりうる制度を見落としにくくなる。制度は年度ごとに内容が見直されることもあるため、一度確認して終わりにせず、定期的に最新情報を確認する習慣を持つことも大切である。
まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を
社長1人の会社は雇用関係助成金の対象外になりやすいが、従業員を1人でも雇用していれば使える可能性のある制度が広がり、補助金であれば1人でも申請できるものもある。自社がどの制度に該当するかは、企業規模や雇用形態によって変わるため、事前の整理が欠かせない。
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