パワハラ防止措置の義務化と助成金【2026年版】|ハラスメント対策で使える制度と職場環境整備の進め方

パワハラ防止措置の義務化と助成金【2026年版】 未分類

パワーハラスメント防止措置は、2022年4月から中小企業を含むすべての事業主に義務化されている。結論から言うと、「パワハラ防止措置そのもの」に直接支給される助成金は基本的に存在しない。ただし、就業規則の整備・相談体制の構築・職場環境の改善に取り組む過程では、人材確保等支援助成金をはじめとする複数の制度を組み合わせて活用できる場面がある。本記事では、義務化の内容を整理したうえで、周辺で使える助成金の種類と、実務としてどこから手をつければよいかを解説する。

パワハラ防止措置の義務化とは|対象事業者と求められる内容

労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)の改正により、2020年6月から大企業、2022年4月からは中小企業にもパワーハラスメント防止措置が義務化された。従業員規模にかかわらず、事業主は次のような措置を講じる義務を負う。

  • 事業主の方針の明確化と周知・啓発(就業規則等への規定、研修の実施)
  • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するための体制整備(相談窓口の設置)
  • 職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応(事実関係の確認、被害者への配慮、再発防止)
  • 相談者・行為者等のプライバシー保護、不利益取扱いの禁止の周知

「義務」とはいえ罰則規定が直接設けられているわけではないが、是正指導の対象になり得るほか、対応を怠ったことで訴訟リスクや離職・採用への悪影響につながるケースも少なくない。特に中小企業では、就業規則が整備されていない、相談窓口が形式的にしか存在しない、といった状態のまま義務化を迎えている企業も多く、まずは現状の棚卸しから始める必要がある。

パワハラ防止対策と助成金の関係|直接助成はないが周辺制度は使える

結論として、「パワハラ防止研修を実施したら○万円支給される」といった、防止措置そのものをピンポイントで助成する制度は、2026年9月時点の主要な雇用関係助成金には見当たらない。国の助成金は基本的に「正社員化」「賃上げ」「人材育成」「両立支援」「職場定着」といった雇用政策上の目的に対して支給される設計になっているためだ。

ただし、パワハラ対策の取り組みは、以下のような助成金の要件や加点要素と重なることが多い。

  • 就業規則の整備・改定は、キャリアアップ助成金や人材確保等支援助成金の申請要件そのものになっている場合がある
  • ハラスメント相談窓口の設置や労務管理体制の強化は、人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース等)の対象になり得る
  • 職場定着・離職防止に向けた取り組みは、両立支援等助成金や人材確保等支援助成金の趣旨と親和性が高い
  • 健康経営優良法人やくるみん等の認定取得に向けた職場環境整備の一環として、ハラスメント対策が組み込まれるケースもある

つまり「パワハラ対策単体」で助成金を探すのではなく、「職場環境整備・人材定着」という大きな枠組みの中にパワハラ対策を位置づけ、関連する助成金の申請要件を満たす形で取り組みを進めるのが現実的なアプローチになる。

職場環境の整備に使える主な助成金・制度一覧

パワハラ防止措置の実務と関連が深い代表的な制度を整理すると、次の表のようになる。金額や要件は制度改正で変わるため、必ず厚生労働省の公式情報で最新の内容を確認したい。

制度名 主な目的 パワハラ対策との関連 所管
人材確保等支援助成金 労働環境の改善による人材確保・定着 雇用管理制度(相談体制・評価制度等)の導入が対象になるコースがある 厚生労働省
キャリアアップ助成金 非正規雇用労働者の正社員化・処遇改善 就業規則の整備が申請の前提条件になる 厚生労働省
両立支援等助成金 育児・介護等と仕事の両立支援 相談窓口・制度整備の観点でハラスメント対策と重なる 厚生労働省
働き方改革推進支援助成金 労働時間短縮・生産性向上 就業規則改定・労務管理体制強化が関連する場合がある 厚生労働省
くるみん・えるぼし認定関連の支援策 子育て支援・女性活躍推進の認定取得企業への優遇 認定要件の中に職場環境整備の観点が含まれる 厚生労働省

上記はいずれも「パワハラ対策」を名目とした制度ではなく、あくまで雇用管理の改善・人材定着という目的の中でパワハラ対策の取り組みが要件や加点として位置づけられている点に注意したい。

就業規則・相談体制を整えるための実務ステップ

パワハラ防止措置を実際に整備する際の標準的な流れを整理すると、以下のようになる。助成金の申請要件を満たすうえでも、この順番で土台を固めておくことが重要だ。

ステップ 内容 目安期間
STEP1 現状の棚卸し 就業規則・相談窓口・過去の相談事例の有無を確認 1〜2週間
STEP2 方針の明確化 事業主の方針を就業規則・社内規程に明記し周知 2〜4週間
STEP3 相談窓口の設置 社内・社外(外部委託含む)の相談窓口を整備 2〜4週間
STEP4 管理職研修の実施 パワハラの定義・NG行為・対応フローの研修 1〜2ヶ月
STEP5 関連助成金の要件確認 整備済みの就業規則・体制が対象助成金の要件を満たすか確認 随時

就業規則の改定は、社会保険労務士に依頼するか、自社の人事担当者が厚生労働省のモデル就業規則を参照しながら作成するのが一般的だ。整備した内容が結果的に人材確保等支援助成金やキャリアアップ助成金の要件を満たしていれば、そのまま申請につなげられる可能性がある。

自社対応か、専門家(社労士・助成金コンサル)に依頼するかの判断基準

パワハラ防止措置と関連助成金の両方を自社だけで完結させることも不可能ではないが、以下のような状況では専門家への相談を検討する価値がある。

  • 人事・労務の専任担当者がおらず、経営者や総務担当が兼務している
  • 就業規則を長年更新しておらず、現行法令に対応できているか不安がある
  • 複数の助成金の要件を横断的に確認し、使える制度を漏れなく洗い出したい
  • 社内対応だけでは相談窓口の中立性・専門性に限界を感じている

助成金の申請要件は制度ごとに細かく定められており、就業規則の記載内容や相談体制の運用実態まで審査の対象になることがある。自社での対応が難しいと感じる場合は、社会保険労務士や助成金コンサルティング会社に相談し、職場環境整備と助成金活用を並行して進める選択肢もある。True Partnersのようなコンサルティング会社では、約40,000件の制度の中から企業の状況に応じて活用できる助成金を提案するサービスを提供しており、こうした無料相談を入り口にするのも一つの方法だ(※2026年9月時点の情報)。

パワハラ防止措置を怠った場合に想定されるリスク

義務化された措置を講じていない、あるいは形式だけ整えて実効性がない状態を放置していると、企業側には複数のリスクが生じうる。

  • 行政指導のリスク:労働局から助言・指導・勧告の対象になる可能性がある。従わない場合は企業名が公表される制度もある。
  • 民事上のリスク:加害者本人だけでなく、防止措置を怠った使用者責任として企業が損害賠償請求の対象になるケースがある。
  • 採用・定着への悪影響:ハラスメント対応の甘さが口コミサイト等で可視化され、採用活動や既存社員の離職率に影響することがある。
  • 助成金申請への影響:一部の助成金では、重大な労務違反があると申請が却下される、あるいは不支給要件に該当する場合がある。

「義務化されているから仕方なく対応する」のではなく、離職防止・採用力強化という経営上のメリットとしてパワハラ対策を位置づけることで、関連する助成金の活用とも自然につながりやすくなる。

よくある質問(FAQ)

Q1. パワハラ防止研修の費用そのものに使える助成金はありますか?

A. 2026年9月時点で、研修費用単体をピンポイントで助成する専用制度は確認されていない。人材開発支援助成金など人材育成系の制度の対象範囲に該当するかどうかは、研修の内容・目的によって個別判断が必要になるため、最新の公式情報を確認してほしい。

Q2. 中小企業でもパワハラ防止措置は本当に義務なのですか?

A. 2022年4月以降、従業員数にかかわらずすべての事業主に義務化されている。罰則の直接規定はないが、行政指導の対象になり得るほか、対応不備が労務トラブルや訴訟リスクにつながる点には注意したい。

Q3. 相談窓口は社内・社外どちらに設置すべきですか?

A. 法律上は社内・社外いずれでも要件を満たせるが、相談のしやすさや中立性の観点から、社内窓口と外部の専門窓口(社労士事務所やEAPサービス等)を併用する企業も多い。

Q4. 就業規則の整備だけで助成金の対象になりますか?

A. 就業規則の整備は多くの助成金で「前提条件」として位置づけられているケースが多く、それ単体で支給対象になるというより、他の要件(正社員化・賃上げ等)と組み合わせて初めて申請可能になる制度が中心だ。

Q5. パワハラ対策と助成金活用を同時に進める場合、何から始めればよいですか?

A. まずは自社の就業規則・相談体制の現状を棚卸しし、どの助成金の要件と重なる部分があるかを整理することから始めるとよい。判断が難しい場合は、社労士や助成金コンサルティング会社への無料相談を活用する方法もある。

まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を

パワハラ防止措置そのものに直接支給される助成金は現時点では存在しないが、就業規則の整備や相談体制の構築は、人材確保等支援助成金やキャリアアップ助成金など複数の制度の要件と重なる。職場環境整備を進める中で、使える制度がないか一度専門家に確認してみる価値はある。

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