「助成金を申請したいが、就業規則が整っていなくて申請できなかった」というケースは非常に多い。キャリアアップ助成金をはじめとした多くの雇用関係助成金は、就業規則の整備が前提条件となっている。本記事では助成金申請のために必要な就業規則の要件・作成方法・改定のコツを解説する。
なぜ就業規則が助成金の前提条件になるのか
雇用関係の助成金は、国が企業の「雇用環境の改善」を後押しするために設けられている。「改善」の証明として最も重要な文書が就業規則だ。就業規則に「制度」が記載されていて初めて、その制度に基づく支出が助成の対象になる。
就業規則がなければ「そもそも制度がない」と判断され、助成金の申請ができない。
就業規則が必要な主な助成金
| 助成金 | 就業規則の必要条項 |
|---|---|
| キャリアアップ助成金(正社員転換) | 正社員転換規定・登用基準 |
| 両立支援等助成金 | 育児休業・看護休業規定 |
| 人材開発支援助成金 | 教育訓練規定・訓練期間中の賃金規定 |
| 働き方改革推進支援助成金 | 有給休暇取得促進・時間外労働削減規定 |
| 65歳超雇用推進助成金 | 70歳まで働ける制度(継続雇用規定) |
就業規則の法的義務
| 従業員数 | 就業規則の義務 |
|---|---|
| 10名以上 | 就業規則の作成・届出が義務(労働基準法89条) |
| 9名以下 | 義務はないが、助成金申請には実質的に必要 |
10名未満の事業者でも、助成金申請には就業規則を整備することが事実上必要になる。
就業規則に盛り込むべき基本事項
必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」
- 1. 始業・終業の時刻、休憩時間
- 2. 休日・休暇(年次有給休暇含む)
- 3. 賃金(計算・支払方法・締切日・賞与等)
- 4. 退職(解雇・定年等)
該当する場合に記載する「相対的必要記載事項」
- 退職手当
- 表彰・制裁(懲戒)
- 安全衛生
- 教育訓練
- 災害補償
助成金別の必要条項の追加方法
キャリアアップ助成金(正社員転換コース)に必要な追加条項
(正社員への登用)
第○条 会社は、一定の要件を満たした有期契約社員・パートタイム社員を正社員に転換することがある。
転換にあたっての要件は以下の通りとする。
1. 在籍期間が○ヶ月以上であること
2. 勤務態度・成績が一定の基準を満たしていること
3. 会社の正社員採用試験に合格すること
人材開発支援助成金に必要な追加条項
(教育訓練)
第○条 会社は、業務に必要な知識・技能の向上を図るため、社員に教育訓練を実施することがある。
社員は会社が指示する教育訓練を受けなければならない。
訓練期間中の賃金は通常の賃金を支払う。
就業規則の作成・届出の手順
Step1:現状確認
既存の就業規則がある場合は内容を確認し、不足している条項を洗い出す。
Step2:条項の追加・修正
申請予定の助成金に必要な条項を追加する。
Step3:労働者代表の意見聴取
就業規則の変更には従業員(過半数代表者)からの意見聴取が必要だ。意見書を作成して添付する。
Step4:労働基準監督署への届出(10名以上の場合)
就業規則と意見書をセットで管轄の労働基準監督署に届け出る。
Step5:従業員への周知
就業規則は全従業員が見られる状態にする義務がある(掲示・配布・イントラネット等)。
就業規則の作成を外注する場合の費用感
| 依頼先 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 社会保険労務士 | 5〜30万円 | 助成金申請とセットで依頼可能 |
| 行政書士 | 3〜15万円 | 法律面は対応可能・助成金は別 |
| クラウドサービス(テンプレート) | 無料〜5万円 | 安価だが個別対応が限定的 |
助成金申請を前提とした就業規則整備は社会保険労務士への依頼が最も確実だ。
まとめ:True Partnersに助成金の全体設計を任せてみよう
助成金を最大限に活用するには「どの制度がいつ使えるか」を体系的に理解した上で、申請のタイミングや優先順位を最適化する必要がある。自社で調べて対応するのは困難なため、専門の助成金コンサルタントへの相談が近道だ。
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