くるみん認定やユースエール認定を取得すると、対応する助成金の加算措置や公共調達での加点といった実務的なメリットが得られる。本記事では、くるみん・ユースエール・えるぼしといった厚生労働省系の認定制度の概要と、認定取得によって広がる助成金活用の選択肢、そして認定取得までの要件と手順を整理する。
これらの認定制度は、単に取得すること自体が目的化してしまうと社内の負担ばかりが増えてしまう。認定取得のプロセスと助成金活用を連動させて考えることで、投じた労力を無駄にせず実利につなげやすくなる。まずは制度の全体像から押さえていきたい。
厚労省系認定制度とは
厚生労働省は、企業が働きやすい職場環境づくりに取り組んでいることを対外的に示すための認定制度をいくつも設けている。代表的なものが以下の3制度だ。
- くるみん認定:次世代育成支援対策推進法に基づき、子育てサポートに積極的な企業を認定する制度。上位区分の「プラチナくるみん」もある
- ユースエール認定:若者雇用促進法に基づき、若者の採用・育成に積極的で雇用管理の状況が優良な中小企業を認定する制度
- えるぼし認定:女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業を認定する制度(星の数で段階評価)
これらの認定は単なる「名誉称号」ではなく、助成金の加算措置や、国・自治体の公共調達における加点評価に直結する実利のある制度だ。
認定を取得すると何が変わるか
助成金の加算措置
くるみん・ユースエール等の認定を取得している企業は、両立支援等助成金をはじめとする一部の助成金において、加算措置の対象になることがある。具体的な加算額や対象となる助成金は年度・制度改正によって変わるため、最新の公募要領での確認が欠かせないが、認定の有無が受給額に直接影響しうる点は押さえておきたい。
加算措置の考え方としては、認定を取得していない企業と比較して、同じ取り組みに対してより高い助成率や助成額が設定されるケースが典型的だ。人材の採用・定着に力を入れる企業ほど、認定取得によるメリットを享受しやすい構造になっている。
公共調達での加点
国や地方自治体が発注する公共事業の入札において、総合評価落札方式を採用している案件では、くるみん・えるぼし等の認定取得企業に加点が行われるケースが多い。BtoG(対官公庁)の取引がある企業にとっては、認定取得が受注機会の拡大につながる可能性がある。
採用力・企業イメージの向上
認定マークを求人票や自社サイトに掲載できることで、働きやすい企業であることを対外的にアピールできる。特に若手採用においては、ユースエール認定の有無が応募者の意思決定に影響することもある。求人媒体によっては認定マークの有無で検索フィルタが用意されている場合もあり、母集団形成の段階から他社との差別化につながる可能性がある。
認定制度の比較表
| 制度名 | 根拠法 | 主な対象 | 認定の視点 | 上位認定 |
|---|---|---|---|---|
| くるみん認定 | 次世代育成支援対策推進法 | 全企業(従業員規模問わず) | 子育てサポート・育児休業取得率等 | プラチナくるみん |
| ユースエール認定 | 若者雇用促進法 | 中小企業(従業員300人以下が目安) | 若者の採用・育成・雇用管理の状況 | - |
| えるぼし認定 | 女性活躍推進法 | 一般事業主行動計画の策定義務がある企業等 | 女性の採用・継続就業・管理職比率等 | プラチナえるぼし |
いずれも申請には行動計画の策定・届出や、一定期間の実績データの提出が必要になる。制度の詳細な認定基準は年度ごとに更新されることがあるため、申請前には必ず厚生労働省の最新の公表資料を確認したい。
認定取得の要件(概要)
くるみん認定の主な要件(一般的な基準の目安)
- 一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届出していること
- 計画に定めた目標を達成していること
- 男性の育児休業等取得率が一定割合以上であること
- 女性の育児休業等取得率が一定割合以上であること
- 各月ごとの労働時間の状況などが基準を満たしていること
ユースエール認定の主な要件(一般的な基準の目安)
- 直近3事業年度の新卒採用者の離職率が一定割合以下であること
- 若者の育成に関する取り組み(研修制度・OJT等)が整備されていること
- 一定以上の月平均所定外労働時間の基準を満たしていること
- 有給休暇の取得率が基準を満たしていること
- 直近の事業年度に有効な労働関係法令の違反がないこと
要件の詳細な数値基準は改正されることがあるため、自社が該当するかどうかは必ず最新の公表資料や労働局への確認を通じて判断してほしい。特に育児休業取得率や離職率といった指標は、単年度の実績だけでなく複数年度分の推移が問われることもあり、認定取得を目指すのであれば早い段階からデータの記録・管理を始めておくことが望ましい。この実績データを集計する期間の考え方は、助成金における「評価期間」「支給対象期間」の考え方とも通じる部分があり、あわせて理解しておくとスケジュール管理がしやすくなる。
認定取得の手順
認定取得までの標準的な流れを以下にまとめた。特に育児休業取得率などの実績を要件とする制度では、実績データの蓄積そのものに時間がかかるため、思い立ってすぐに取得できるものではない点を理解しておく必要がある。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 1. 現状把握 | 育児休業取得率・離職率等、認定基準に関わる自社データを集計 | 2〜4週間 |
| 2. 行動計画の策定 | 次世代育成支援対策推進法等に基づく一般事業主行動計画を作成 | 2〜4週間 |
| 3. 行動計画の届出 | 都道府県労働局へ行動計画を届出 | 届出後即時〜数週間 |
| 4. 計画の実行・実績蓄積 | 計画期間中、目標達成に向けた取り組みを実施しデータを蓄積 | 半年〜数年(制度による) |
| 5. 認定申請 | 目標達成後、労働局へ認定申請書と実績データを提出 | 1〜2ヶ月(審査期間含む) |
| 6. 認定 | 審査を経て認定マークの使用が可能に | - |
行動計画の策定や、育児休業取得率向上のための制度整備(雇用契約書の整備ポイント等)は、助成金申請時に求められる書類整備とも重なる部分が多い。認定取得と助成金活用を同時並行で進めることで、社内整備の手間を効率化できる面もある。
認定取得にあたって注意したいポイント
認定取得を検討する際は、以下の点にも留意しておきたい。
取り組みの実態が伴っている必要がある:くるみん・ユースエール等の認定は、行動計画を策定して届け出るだけでなく、実際に育児休業取得率や離職率といった実績データが基準を満たしていることが求められる。書類上だけ整えても、実態が伴わなければ認定には至らない。
認定基準は改正されることがある:少子化対策や働き方改革の方向性にあわせて、認定基準は数年単位で見直されることがある。現時点で基準を満たしていても、将来的な改正で要件が変わる可能性がある点は念頭に置いておきたい。
プラチナ認定は上位基準を満たす必要がある:プラチナくるみんやプラチナえるぼしは、通常の認定よりも高い水準の実績が求められる。段階的に、まず通常の認定取得を目指し、その後上位認定へステップアップするという進め方も現実的だ。
認定と助成金活用をあわせて進めるメリット
くるみん・ユースエール等の認定取得プロセスでは、就業規則の整備、労働時間管理、有給休暇取得の促進といった労務環境の改善が求められる。これらは、両立支援等助成金やキャリアアップ助成金など、労務環境の改善を要件とする助成金の申請要件とも共通する部分が多い。
そのため、認定取得を目指す過程で整えた社内体制をそのまま助成金申請にも活用できるケースは少なくない。逆に、助成金申請をきっかけに就業規則や労働時間管理を整備し、その延長で認定取得を目指すという順序も現実的だ。助成金の申請代行とは?仕組み・費用相場も参照し、認定取得と助成金活用を並行して検討する際の全体像をつかんでおくとよい。
よくある質問(FAQ)
Q1. くるみん認定を取得すると、必ず助成金の加算が受けられますか。
A. 加算措置の対象となるかは助成金ごと・年度ごとに条件が異なる。認定取得そのものが加算を保証するわけではなく、対象制度の公募要領を都度確認する必要がある。
Q2. 認定取得までにどれくらいの期間がかかりますか。
A. 行動計画の策定から実績蓄積、認定申請までを合わせると、半年〜数年単位の期間を要することが一般的だ。特に育児休業取得率などの実績データは一定期間の蓄積が必要になる。
Q3. 中小企業でも認定は取得できますか。
A. くるみん認定は企業規模を問わず申請可能で、ユースエール認定はむしろ中小企業を主な対象とした制度だ。規模の小さい企業でも取得を目指せる。
Q4. 認定を維持するための更新手続きはありますか。
A. 制度によって更新や実績報告の要件が定められている場合がある。認定を取得した後も、育児休業取得率や労働時間の状況を継続的にモニタリングしなければ、翌年度以降の実績が基準を下回ってしまう可能性がある。認定はゴールではなく、働きやすい職場環境を維持し続けるための出発点と捉えたほうがよい。
Q5. 認定取得を専門家に相談することはできますか。
A. 社労士や助成金コンサルの中には、行動計画の策定支援や認定申請サポートを行うところもある。自社での対応が難しい場合は、助成金申請とあわせて専門家への相談を検討する選択肢もある。
まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を
くるみん・ユースエール・えるぼし等の認定取得は、助成金の加算措置や公共調達での加点、採用力の向上といった実務的なメリットにつながる。認定取得の過程で整える労務環境は助成金の申請要件とも重なる部分が多く、両者を並行して進めることで社内整備の効率化が図れる。制度の詳細な基準は改正されるため、最新の公表資料での確認を忘れずに進めたい。
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