働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースは、月60時間超の時間外労働の削減や年休制度の導入で最大200万円、助成率は3/4。交付申請は2026年11月30日(月)17:00まで。要件と申請の流れ、注意点を解説する。
働き方改革推進支援助成金「労働時間短縮・年休促進支援コース」とは
働き方改革推進支援助成金は、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進など、働き方改革に取り組む中小企業事業主を支援するための助成金である。複数のコースが用意されているなかで「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、時間外労働の削減や年休取得率の向上といった成果目標をあらかじめ設定し、その達成に向けた取り組みを行うことで、取り組みにかかった経費の一部が助成される仕組みになっている。
対象となる取り組みには、労務管理用のソフトウェアやタイムレコーダーの導入、就業規則の改定、労働時間管理に関する研修の実施、外部専門家によるコンサルティングの活用などが含まれる。単に機器を導入するだけでなく、労働時間の実態を可視化し、実際に時間外労働の削減や年休取得の促進につなげることが求められる。
なお、本コースは働き方改革推進支援助成金の各コースのうち労働時間短縮・年休促進に特化した内容を解説するものであり、制度全体の概要や申請方法の総論については働き方改革推進支援助成金の申請方法であわせて確認しておくと理解が深まる。
成果目標の考え方|36協定・年休・時間単位年休
このコースを申請するには、交付申請の段階で以下3つの成果目標のうち、事業場の状況に応じたものを1つ以上設定する必要がある。
- 月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時間数の削減:実施前→実施後の設定時間数に応じて上限が変わる目標(80時間超→60時間以下は150万円、80時間超→60時間超〜80時間以下は50万円、60時間超〜80時間→60時間以下は100万円)
- 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入:労使協定を締結し、年休の取得日をあらかじめ計画的に割り振る制度を新たに導入する目標(25万円)
- 時間単位の年次有給休暇と特別休暇の新規導入(セット):時間単位で取得できる年休制度と、交付要綱で規定する特別休暇を1つ以上新たに導入する目標(25万円)。特別休暇の具体的な範囲は交付要綱で確認する
成果目標は、交付申請時点でまだ実現していない状態から、取り組みを通じて達成することが前提になる。すでに達成済みの目標を設定することはできない点に注意したい。なお、対象事業主は労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて年休管理簿や就業規則等を整備している必要がある。
成果目標の種類と主な取り組み内容
| 成果目標の種類 | 主な取り組み内容の例 |
|---|---|
| 月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時間数の削減 | 労務管理システムの導入、業務プロセスの見直し、研修の実施 |
| 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入 | 就業規則・労使協定の整備、年休管理システムの導入 |
| 時間単位年休と特別休暇の新規導入(セット) | 就業規則の新設・改定、勤怠管理システムの改修・導入、社内周知資料の作成 |
交付申請から支給申請までの流れ
このコースで最も重要なのは、手続きの順番を誤らないことである。流れは次の通りになる。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| STEP1 | 交付申請書の作成・提出 | 成果目標の設定、実施する取り組み内容と経費の見積り |
| STEP2 | 交付決定の通知を受領 | 交付決定前に発注・契約・支払いをしないこと |
| STEP3 | 交付決定後に取り組みを実施 | 見積りどおりの内容で発注・実施、証拠書類を保管 |
| STEP4 | 成果目標の達成状況を確認 | 36協定の変更届、年休取得実績等の記録を整備 |
| STEP5 | 支給申請書の提出 | 実施内容の実績報告、支払いを証明する書類一式 |
| STEP6 | 労働局による審査・支給 | 書類不備があれば追加提出を求められることがある |
交付申請の段階では、見積書を複数社から取得し、実施したい取り組みの内容を具体的に記載する必要がある。交付決定後に取り組み内容や経費に変更が生じた場合は、事前に変更申請の手続きを取ることが求められるため、計画段階である程度余裕を持ったスケジュールを組んでおくことが望ましい。
交付決定前の発注は対象外になる点に要注意
このコースに限らず、多くの補助金・助成金に共通する重要なルールとして、交付決定前に発注・契約・購入・支払いを行ってしまうと、その経費は原則として助成の対象にならないという点がある。労働時間短縮・年休促進支援コースでも同様で、「早く導入したい」という気持ちから交付決定前にソフトウェアを契約してしまうと、その経費は助成の対象外となってしまう。
このルールについては交付決定前着手の禁止ルールで詳しく解説しているとおり、多くの申請者がつまずくポイントでもある。導入したい機器やサービスが決まっていても、交付決定の通知が届くまでは契約手続きに進まないよう、社内の関係部署に周知しておくことが重要である。
賃金加算と受付期間・予算の考え方
このコースには、成果目標の達成に加えて、賃金の引上げに取り組んだ場合に助成額へ加算が行われる仕組みも用意されている。令和8年度の上限額は、成果目標ごとの上限の合計で基本は最大200万円(月60時間超の時間外労働の削減が最大150万円、年休の計画的付与が25万円、時間単位年休と特別休暇のセットが25万円)、助成率は3/4(常時使用する労働者30人以下で、労務管理用機器・設備等の導入経費が30万円を超える場合は4/5)である。賃金引上げ加算(3%・5%・7%以上の引上げ。30人超は最大360万円、10〜30人は2倍、10人未満は2.5倍)と割増賃金率引上げ加算(25万円または75万円)を含めると最大1,020万円とされるが、加算の満額要件は最新の交付要綱で必ず確認いただきたい(出典:厚生労働省リーフレット、令和8年度雇用・労働分野の助成金のご案内〈簡略版〉)。
また、令和8年度の交付申請期限は2026年11月30日(月)17:00で、事業実施は2027年1月31日(日)まで、支給申請は事業実施予定期間終了日から30日後または2027年2月5日(金)のいずれか早い日までとされている。予算の制約で期限前に予告なく締め切られる場合もある。導入を検討している場合は、早めに情報収集を始め、交付申請の準備を前倒しで進めておくことをおすすめする。
申請時によくあるつまずきポイント
働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースでは、次のような点でつまずくケースが多く見られる。
- 1. 成果目標の設定が実態に合っていない:現状の36協定の内容や年休取得率を正確に把握しないまま目標を設定し、達成が困難になってしまうケース。
- 2. 交付決定前に契約してしまう:導入したい機器やサービスが決まっている場合ほど、交付決定を待たずに発注してしまいがちである。
- 3. 見積書の内容と実施内容の不一致:交付申請時の見積りと、実際に発注・導入した内容にズレが生じ、支給申請の段階で指摘を受けるケース。
- 4. 成果目標の達成を裏付ける記録の不足:36協定の変更届や年休取得実績など、目標達成を証明する書類が不十分なケース。
こうした点は、社内の担当者だけで進めていると見落としやすい。制度の詳細な要件確認や書類作成に不安がある場合は、社会保険労務士など専門家に相談する方法もある。実際にどの程度の費用で依頼できるかは、助成金の代行費用相場で目安を確認できる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 成果目標はいくつ設定すればよいですか?
事業場の実情に応じて、36協定の見直しや年休の計画的付与制度の導入など、3つの成果目標のなかから1つ以上を選んで設定する。すでに達成している目標は設定できないため、現状把握が申請の第一歩になる。
Q2. 交付決定前に見積りを取るだけなら問題ないですか?
見積書の取得自体は交付申請の準備として必要な行為であり、問題ない。対象外になるのは、正式な発注・契約・購入・支払いを交付決定前に行ってしまう場合である。見積りと契約の違いを混同しないよう注意したい。
Q3. 既存の「働き方改革推進支援助成金の申請方法」の記事とは何が違いますか?
制度全体の概要や複数コースの位置づけについては総論記事で解説しており、本記事は「労働時間短縮・年休促進支援コース」に絞って、成果目標の設定方法や交付申請から支給申請までの流れを詳しく解説している。
Q4. 受付はいつまで行われますか?
令和8年度の交付申請は2026年11月30日(月)17:00までである。ただし予算の制約で期限前に予告なく締め切られる場合があるため、最新の受付状況は厚生労働省や労働局の公式サイトで確認する必要がある。
Q5. 賃金の引上げにも取り組むとどうなりますか?
成果目標の達成に加えて賃金の引上げ(3%・5%・7%以上)に取り組んだ場合、賃金引上げ加算が上乗せされる。さらに割増賃金率引上げ加算(25万円または75万円)もあり、基本の最大200万円と合わせて最大1,020万円とされる。加算額の具体的な条件や金額は規模・引上げ率で変わるため、最新の交付要綱で確認してほしい。
まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を
働き方改革推進支援助成金「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、36協定の見直しや年休の計画的付与といった成果目標を設定し、交付決定を受けてから取り組みを実施することで助成される制度である。交付決定前の発注は対象外になるという手続きの順番を守ることが、支給申請を成功させる最大のポイントになる。
| プラン | 月額 | 申請代行手数料 | 保証 |
|---|---|---|---|
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