結論、審査中の確認の電話は珍しいことではなく、不正を疑われているとは限らない。多くは記載内容と実態を照らし合わせるための事実確認であり、落ち着いて事実どおりに答えれば問題ない。
結論|審査中の照会は「よくあること」
助成金の申請書類を提出した後、審査の過程で労働局の担当者から電話や書面で問い合わせが入ることがある。これは支給要件を満たしているかどうかを確認するための通常のプロセスの一部であり、電話がかかってきたからといって、不正受給を疑われているとは限らない。
書類だけでは読み取りにくい部分、あるいは記載内容に補足の説明が必要な箇所について、担当者が直接確認したいときに連絡が来ると考えておくとよい。慌てず、事実に基づいて回答する姿勢が最も重要だ。
なぜ審査中に照会が入るのか
助成金の審査では、提出された書類の記載内容と、実際の雇用の実態や賃金の支払い状況などに齟齬がないかを確認する。書類の記載だけで判断がつく場合は照会が発生しないが、次のようなケースでは確認の連絡が入りやすい。
- 記載内容から複数の解釈ができ、どちらの意味か確認したい場合
- 添付書類の記載と申請書の内容に、わずかな差異がある場合
- 対象労働者の勤務実態について、追加の説明があると審査がスムーズになる場合
- 過去の申請や他の制度の利用状況について確認したい場合
これらはいずれも「疑わしいから調べる」というより「正確に審査するために確認する」という性質のものが多い。申請前にどのような要件が確認されるかを把握しておきたい場合は、助成金申請における「支給要件」の確認方法も参考になる。
審査中の照会でよく聞かれる内容
実際の照会でよく確認される項目を表にまとめた。あくまで一般的な傾向であり、制度やコースによって確認される内容は異なる。
| よく聞かれる項目 | 確認される内容の例 |
|---|---|
| 勤務実態 | 対象労働者が実際にどのような業務・勤務形態で働いているか |
| 賃金の支払い状況 | 賃金台帳に記載された金額が実際に支払われているか |
| 契約内容 | 雇用契約書の内容(雇用形態・契約期間・労働条件)の詳細 |
| 制度の実施状況 | 就業規則や社内規定が実際に運用されているか |
| 他制度の利用状況 | 他の助成金・補助金を同時に利用していないか |
| 書類間の整合性 | 複数の提出書類の記載内容に食い違いがないか |
照会の内容は、提出した書類に何が書かれているかによって変わる。日頃から書類と実態が一致するように運用しておけば、照会が来ても慌てずに答えられる。特に固定残業代やみなし残業を採用している企業は審査で確認されやすい論点があり、助成金申請と固定残業代・みなし残業の注意点で詳しく解説している。
回答の基本姿勢|事実どおりに、記録と照合して
照会を受けたときの基本姿勢は、記憶や印象で答えるのではなく、記録に基づいて事実どおりに回答することだ。具体的には次のような点を意識するとよい。
- その場で即答できない場合は、無理に答えない。曖昧な回答は後の食い違いの原因になりやすい
- 雇用契約書・賃金台帳・出勤簿などの記録を確認してから折り返す。「確認してご連絡します」と伝えるのは問題ない対応だ
- 記載内容と実態が異なる場合は、正直にその経緯を説明する。隠したり取り繕ったりすると、かえって不利になりやすい
- 担当者の質問の意図を確認する。何を確認したいのかがはっきりしない場合は、聞き返してよい
労働局の担当者は、あくまで支給要件の充足を確認するために質問している。誠実に、記録に基づいて回答することが、結果的に審査をスムーズに進めることにつながる。
社労士やコンサルに同席・対応してもらう選択肢
申請を社労士や助成金コンサルに依頼している場合、審査中の照会への対応を代行・同席してもらう選択肢もある。専門家であれば、制度上どのような点が確認されやすいかをあらかじめ把握していることが多く、照会に対しても的確に対応しやすい。
ただし、照会の内容によっては、企業側の担当者でなければ答えられない実務的な事柄(実際の勤務実態やシフトの運用など)もある。専門家に任せきりにするのではなく、社内の担当者と情報を共有しながら対応する体制を整えておくことが望ましい。
顧問社労士がいる場合は、助成金コンサルと役割を分担しながら対応するケースも多い。誰が一次窓口として照会を受けるかを事前に決めておくと、連絡の行き違いを防ぎやすい。両者をどう使い分けるかについては、顧問社労士がいる会社の助成金コンサル併用ガイドで役割分担のコツを解説している。
実地調査との違い|審査中の照会は「書類段階の確認」
労働局が行う確認には、審査中に行われる書類・電話ベースの照会と、支給決定の前後に行われる実地調査・立入調査とがある。実地調査は事業所を訪問し、現場で書類や勤務実態をより詳しく確認するものであり、審査中の電話照会とは性質がやや異なる。
実地調査への準備や対応の流れについては、労働局の実地調査・立入調査の対応ガイドで詳しく解説しているため、審査段階の確認と、実地調査での確認は別のものとして理解しておくとよい。いずれも基本の考え方は同じで、記録に基づいて事実どおりに説明できる状態を保っておくことが対応の土台になる。
照会を受けたあとに社内で記録しておきたいこと
照会を受けて回答した後は、やり取りの内容を社内に記録として残しておくとよい。担当者の記憶だけに頼ると、後日似たような照会が来たときに同じ説明を再現できなかったり、複数の担当者が異なる説明をしてしまったりするおそれがある。
記録として残しておきたい項目を表にまとめた。
| 記録しておきたい項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 照会があった日時 | いつ、どの制度・コースについて連絡があったか |
| 質問された内容 | 何を確認されたのか、できるだけ具体的に書き残す |
| 回答した内容 | どのように説明したか、根拠とした記録もあわせて残す |
| 追加で提出した資料 | 照会にあわせて提出した書類があれば控えを保管する |
| 対応した担当者 | 誰が電話に出て、誰が最終的な回答を行ったか |
こうした記録を蓄積しておくと、次回以降の申請で同じ論点について事前に説明を用意しておくことができ、審査全体のスムーズさにもつながる。特に複数の助成金を継続的に活用している企業では、過去の照会内容の記録が社内のノウハウとして蓄積されていく。
照会への対応で避けたいNG行動
照会に対応する際、結果として不利な状況を招きやすい行動もあわせて押さえておきたい。
- 質問の意図を確認せずに、憶測で答えてしまう
- 記録を確認しないまま、記憶だけを頼りに詳細な数字を答えてしまう
- 「あとで連絡します」と伝えたまま、実際には折り返しの連絡を怠る
- 複数の担当者が同じ質問に異なる内容で答えてしまう
- 説明に困る点を曖昧にごまかそうとする
これらはいずれも、悪意がなくても審査の過程で不要な疑念を招きかねない行動だ。わからないことは「わからない」「確認して折り返す」と正直に伝え、確認した内容を正確に伝え直すという基本を徹底することが、結果的に審査をスムーズに進める近道になる。日頃から記録を整えておく地道な積み重ねが、いざ照会を受けたときの落ち着いた対応につながっていく。
よくある質問(FAQ)
Q1. 労働局から電話が来たら、不正を疑われているということか。
A. そうとは限らない。多くは書類の記載内容を確認するための通常の手続きである。落ち着いて事実どおりに答えれば問題ない。
Q2. その場で答えられない質問をされたらどうすればよいか。
A. 無理に即答せず、記録を確認してから折り返す旨を伝えて問題ない。曖昧な回答よりも、確認してからの正確な回答のほうが望ましい。
Q3. 記載内容と実態にずれがあった場合はどうすればよいか。
A. 正直に経緯を説明することが基本だ。隠したり取り繕ったりすると、かえって不利な状況を招きやすい。
Q4. 社労士に依頼している場合、電話は誰にかかってくるのか。
A. 制度や申請方法によって企業側に直接かかることもある。事前に一次窓口を決めておくと対応がスムーズになる。
Q5. 照会があった後、審査結果に影響はあるのか。
A. 照会自体は審査の一部であり、事実どおりに回答して要件を満たしていれば、通常どおり審査は進む。過度に不安視する必要はない。
まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を
審査中の電話や問い合わせは、不正を疑う目的ではなく、支給要件を正確に確認するための通常のやり取りであることが多い。勤務実態や賃金の支払い状況を記録と照合しながら、事実どおりに答える姿勢が何より重要だ。即答できない質問には確認してから折り返せばよく、必要であれば社労士やコンサルに同席・対応を依頼することもできる。審査対応も含めて申請全体を伴走してほしい場合は、専門家に相談する選択肢を検討したい。
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