人事制度の整備は経営改善に直結するものの、中小企業にとってコンサルティング費用や制度設計の工数は重い負担です。しかし、賃金制度や評価制度の整備に対して、国や地方自治体はさまざまな助成金を用意しています。この記事では、2026年時点で活用できる主な助成金制度と、申請の流れを詳しく解説します。
賃金制度・評価制度の整備に使える助成金とは
「助成金は採用や設備投資のためのもの」と思っている経営者は少なくありません。しかし実際には、社内の人事制度整備を支援する助成金も複数存在します。
代表的なのは、厚生労働省管轄の人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)です。雇用管理制度(賃金制度・評価制度・研修制度など)を新たに導入・改善した企業が、離職率の低下目標を達成した場合に助成金が支払われます。
また、業務改善助成金や働き方改革関連の助成金も、賃金引き上げと組み合わせて活用できる場面があります。制度整備の目的や状況に応じて、複数の助成金を組み合わせることで、コストを大幅に圧縮できます。
なぜ今、人事制度整備に助成金を使うべきか
2024年以降、労働市場の逼迫が続いており、中小企業では特に採用難・定着難が深刻です。適切な評価制度や賃金制度を整えることが、優秀な人材確保の前提条件になっています。
国もこの問題を重視しており、人事制度整備を後押しするための助成金の要件を徐々に緩和・拡充しています。2026年現在は申請が通りやすい時期ともいえます。
主要助成金の種類と支給額一覧
人事制度整備に関連する助成金は複数あります。以下の表で整理します。
| 助成金名 | 主な対象 | 支給額(目安) | 管轄 |
|---|---|---|---|
| 人材確保等支援助成金(雇用管理制度コース) | 雇用管理制度の新規導入・改善 | 57万円 | 厚生労働省 |
| 業務改善助成金 | 最低賃金引上げ+設備投資 | 最大600万円 | 厚生労働省 |
| キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース) | 非正規労働者の賃金3%以上引き上げ | 1人あたり最大5万円 | 厚生労働省 |
| 人材開発支援助成金 | 研修・OJT・資格取得支援 | 経費の45〜75% | 厚生労働省 |
| 働き方改革推進支援助成金 | 労働時間短縮・制度整備 | 最大250万円 | 厚生労働省 |
これらを組み合わせることで、一度の制度整備でも100万円以上の助成を受けられるケースがあります。
人材確保等支援助成金(雇用管理制度コース)の詳細
人事制度整備で最も直接的に活用できる助成金です。具体的な要件と流れを確認しましょう。
対象となる雇用管理制度
以下の4区分のうち1つ以上を新規導入または改善することが要件です。
- 1. 評価・処遇制度:人事評価制度、賃金制度の導入・改善
- 2. 研修制度:OJT、OFF-JT、自己啓発支援の仕組み整備
- 3. 健康づくり制度:法定外の健康診断、メンタルヘルス対策
- 4. メンター制度:若手・新入社員への育成支援体制
最もニーズが高いのは「評価・処遇制度」の新規導入です。評価基準の明文化や等級・賃金テーブルの作成が該当します。
支給の条件
制度導入後、離職率の目標達成が支給の条件となります。計画開始前と比べて離職率が一定以下であることが求められます。目標値は企業規模によって異なりますが、おおむね10〜20%以内の離職率が目安です。
支給額
- 基本助成:57万円(中小企業の場合)
- 計画認定から支給まで、通常1〜2年のスパンで進みます
申請の流れ(概要)
- 1. 雇用管理制度整備計画を労働局に提出・認定取得
- 2. 計画に基づき制度を整備・導入
- 3. 制度導入後の離職率を算定期間中に管理
- 4. 目標達成後に支給申請書を提出
- 5. 審査を経て支給決定・振込
キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の活用法
非正規労働者(パート・アルバイト・契約社員・派遣社員)の賃金を3%以上引き上げた場合に受給できます。
活用が有効なケース
- アルバイトや契約社員の賃金テーブルを整備したい
- 正社員登用を機に賃金規定を新規作成したい
- 最低賃金改定に合わせて賃金体系を見直したい
こうした場面では、制度整備と同時にキャリアアップ助成金の要件を満たすことができます。
支給額の目安
| 引上げ人数 | 助成額(中小企業) |
|---|---|
| 1〜3人 | 1人あたり最大5万円 |
| 4〜6人 | 1人あたり4万円 |
| 7人以上 | 1人あたり3万円 |
複数人いる場合は合算されるため、10人規模の会社でも30〜50万円の受給が見込めます。
申請時の注意点とよくある失敗
助成金申請は書類の不備や手順のミスで不支給になるケースが多くあります。特に人事制度系の助成金では以下の点に注意が必要です。
注意点1:計画認定前に制度を整備しない
人材確保等支援助成金では、「計画認定後に制度を導入すること」が原則です。認定前に就業規則を改定してしまうと要件を満たさなくなります。
注意点2:就業規則の変更手続きを適切に行う
制度整備に伴い就業規則を変更する場合、労働基準監督署への届出が必要です(従業員10人以上の場合)。この手続きを省略すると審査で問題になります。
注意点3:支給申請のタイミングを逃さない
支給申請には期限があります。「算定期間終了後2ヶ月以内」など、タイミングが厳密に決まっています。多忙な時期に申請期限を見落とすケースが多いため、カレンダーへの登録が必須です。
注意点4:実態のない制度は認められない
書面上だけで制度を整備して実際には運用していないケースは、調査によって判明した場合に返還命令となります。制度は実際に運用し、評価記録や面談記録を残しておくことが大切です。
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特に「どの助成金を組み合わせるべきかわからない」「制度整備と申請を同時に進めたいが社内に担当者がいない」といった場合に、専門家に依頼することで手続きを効率化できます。
まとめ|助成金活用はTrue Partnersにお任せください
賃金制度・評価制度の整備は、社員の定着と採用力強化に直結する経営投資です。そして今は、その投資を国が助成金でサポートしてくれる時代でもあります。人材確保等支援助成金やキャリアアップ助成金など、複数の制度を組み合わせることで、制度構築コストの大部分を回収できる可能性があります。
2026年は特に中小企業向けの助成金が充実しており、制度整備のタイミングとして非常に有利な環境です。まずは自社が受給できる助成金の種類と金額を把握することから始めましょう。
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