人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の申請方法【2026年版】|新規事業・DXで使う手順

人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の申請方法【2026年版】 IT・DX・設備補助金

「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業の立ち上げやDX・GXの推進にともなって従業員の学び直し(リスキリング)を行う事業主を対象にした人材開発支援助成金のコースです。期間限定の措置である点にも注意が必要です。この記事では対象となる取り組みの範囲と、申請の手順を整理します。

事業展開等リスキリング支援コースとは

人材開発支援助成金にはいくつものコースがありますが、「事業展開等リスキリング支援コース」は、既存事業からの転換・新規事業の立ち上げ・DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)の推進など、事業の変化にともなって従業員が新しいスキルを習得する必要がある場面を想定した制度です。

単なるスキルアップ研修ではなく、「事業展開」という文脈があることが前提になります。たとえば、これまで対面販売中心だった事業者がECサイト運営に乗り出すためにデジタルマーケティングの訓練を行う、製造業が新たな生産ラインに対応するための技術訓練を行うといったケースが想定されます。自社の取り組みが単なる社員教育ではなく、事業展開に紐づいたものであることを説明できるかどうかが、申請の出発点になります。

対象となる取り組みの考え方

このコースの対象になるかどうかを判断する際は、次のような視点で自社の状況を整理すると分かりやすくなります。

  • 新規事業の立ち上げに伴い、既存の従業員に新しい業務スキルの習得が必要になっている
  • DX推進により、これまでの業務フローが変わり、デジタルツールの活用スキルが必要になっている
  • GX(脱炭素・環境対応)の取り組みに伴い、新しい技術や知識の習得が求められている
  • 事業転換・業態転換にあたり、従業員の担当業務が大きく変わる予定がある

こうした「事業の変化」と「訓練内容」の結びつきを、訓練実施計画届の段階で説明できるように整理しておくことが重要です。単に「時流に合わせてDX研修を受けさせたい」という漠然とした動機だけでは、審査の際に事業展開との関連性を問われる可能性があります。

対象事業主・対象労働者の主な要件

基本的な要件は他の人材開発支援助成金のコースと共通する部分が多くありますが、このコースならではの確認ポイントもあります。

確認項目 内容
事業展開の実態 新規事業・事業転換・DX/GX推進の取り組みが具体的に説明できること
訓練とのつながり 訓練内容が、事業展開に必要なスキル習得を目的としていること
対象労働者 訓練を受講する従業員が雇用保険被保険者であること
計画の届出 訓練実施計画届を訓練開始前に労働局へ提出していること
実施記録 出勤簿・カリキュラム・訓練修了の証明等を整備していること

事業展開の実態については、事業計画書や取締役会議事録など、社内で作成している資料を活用して説明できるケースが多いです。新たに書類を作成するのではなく、既存の経営資料の中から関連する記述を整理しておくと準備がスムーズです。

申請の流れ

このコースの申請手続きも、他の人材開発支援助成金と同様に「計画届の事前提出」が起点になります。全体の流れを整理すると次のとおりです。

ステップ 内容 タイミングの目安
1 事業展開の内容と、必要な訓練の方向性を整理する 訓練開始の数ヶ月前
2 訓練カリキュラムを決定し、委託先(教育訓練機関等)を選定する 計画届提出前
3 訓練実施計画届を管轄の労働局へ提出する 訓練開始前の所定の期間内
4 計画にもとづき訓練を実施する 計画で定めた訓練期間中
5 訓練終了後、支給申請書類を提出する 訓練終了後の所定の期間内
6 労働局の審査・必要に応じた実地確認 申請後
7 支給決定・入金 審査終了後

訓練実施計画届の提出期限は、他の人材開発支援助成金のコースと同様に訓練開始前の一定期間内と定められています。年度によって細かな運用が変わることがあるため、実際にスケジュールを組む際は最新の案内を必ず確認してください。

助成率の考え方と期間限定措置である点

事業展開等リスキリング支援コースは、中小企業を対象に経費助成率75%、賃金助成として1時間あたり1,000円という水準が基本とされてきました。ただし、このコースは恒久的な制度ではなく、令和8年度末(2026年度末)までの期間限定の措置として運用されている点に注意が必要です。

期間限定の措置は、期限が近づくと申請が集中しやすく、また制度の延長や見直しの可能性も含めて情報が変わりやすい分野です。新規事業やDX推進を検討している事業者は、対象となる訓練を先送りにせず、早めに制度の詳細を確認しておくことをおすすめします。

※本記事の助成率・期間限定措置の情報は2026年9月時点で確認できるものです。制度の延長・変更の有無を含め、必ず厚生労働省の公式サイトで最新の支給要領をご確認ください。

「人への投資促進コース」との使い分け

同じ人材開発支援助成金のなかでも、「人への投資促進コース」は高度デジタル人材の育成や自発的な学び直しなど、事業展開という前提を必須としない訓練を広くカバーしています。一方、「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業やDX/GXという事業の変化が前提になる点が異なります。

自社の取り組みが「新しい事業やDXに直結するスキル習得」であればこのコース、「事業展開の有無にかかわらず幅広い人材育成」であれば人への投資促進コースというように、目的に応じて使い分ける、あるいは条件を満たせば両方を時期をずらして活用することも検討できます。人への投資促進コースの詳細は人材開発支援助成金の申請方法、DX・リスキリング全般の考え方はリスキリング・DX人材育成に特化した助成金活用ガイドで整理していますので、あわせて確認してください。

申請時に注意したいポイント

事業展開等リスキリング支援コースは、事業展開の実態と訓練内容の結びつきを説明する必要がある分、書類準備で次のような点につまずきやすい傾向があります。

  • 事業展開の実態を示す資料(事業計画・稟議書等)が整理されていない
  • 訓練内容が一般的なビジネス研修にとどまり、事業展開との関連性が薄い
  • 訓練実施計画届の提出タイミングを逃してしまう
  • 委託先の教育訓練機関が制度上の要件を満たしていない
  • 期間限定の措置であることを把握しておらず、申請の準備が後手に回る

これらは早い段階で全体の書類要件を把握しておけば防げるものが大半です。助成金申請全般の書類準備については助成金申請に必要な書類一覧も参考にしてください。

自社対応と専門家依頼の判断基準

事業計画と訓練内容の関連性を整理する作業は、経営企画部門や人事部門が連携できる体制があれば自社でも対応可能です。一方で、新規事業の立ち上げと並行して申請準備を進める余裕がない場合や、期間限定の措置ということもあり早期に確実な申請をしたい場合は、社会保険労務士などの専門家に相談する事業主も多く見られます。専門家に依頼する場合の費用相場は助成金の代行費用相場を、自分で申請する場合の難易度感は助成金は自分で申請するのは難しい?を参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 新規事業の立ち上げ前でも申請できますか?

事業展開の計画が具体化しており、それに伴う訓練の必要性が説明できる段階であれば申請の検討は可能です。ただし訓練実施計画届の提出には一定の準備期間が必要なため、事業計画の初期段階から情報収集を始めることをおすすめします。

Q2. DX推進の一環としてのITツール研修も対象になりますか?

業務フローの変化に対応するためのデジタルツール活用訓練は、事業展開との関連性が説明できれば対象になり得ます。ただし一般的なパソコン基礎講座など、事業展開との結びつきが弱い内容は対象外と判断される可能性があります。

Q3. 令和8年度末で制度が終了したら、その後はどうなりますか?

期間限定の措置として運用されているため、期限後の取り扱いは今後の制度改正次第です。延長や後継制度の有無については、厚生労働省の発表を随時確認する必要があります。

Q4. 中小企業以外(大企業)でも対象になりますか?

制度の対象自体は中小企業に限定されない場合がありますが、助成率・助成額は中小企業のほうが優遇される設計です。自社の規模区分と適用される助成率は、最新の支給要領で確認してください。

Q5. 訓練を外部に委託せず、社内講師で実施する場合も対象になりますか?

社内で実施する訓練であっても、カリキュラムの内容や実施記録の整備状況によっては対象になる場合があります。ただし外部委託の訓練に比べて要件確認が細かくなる傾向があるため、事前に労働局へ相談することをおすすめします。

まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を

事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業の立ち上げやDX・GX推進に伴う訓練を対象にした期間限定の助成制度です。事業展開の実態と訓練内容の関連性を整理し、訓練実施計画届を期限内に提出することが申請の第一歩になります。

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