パートを正社員にしたら社会保険料はいくら増える?【2026年版】|キャリアアップ助成金との差し引きを試算

パートを正社員にしたら社会保険料はいくら増える?【2026年版】 雇用・採用助成金

結論、パート従業員を正社員にしたときの会社負担の増加額は、月給20万円のケースでおおむね月3万円前後、年間では36万円前後がひとつの目安になる。社会保険料(健康保険・厚生年金保険・雇用保険など)は労使合計でおおむね約30%、会社負担は約15%前後という概算で考えると、月給が高いほど負担は比例して増える。一方、キャリアアップ助成金の「正社員化コース」などを活用できれば、この増加分の一部または全部を相殺できる可能性がある。本記事では概算の試算例を示しながら、差し引きの考え方を整理する。

なお、保険料率は加入する健康保険(協会けんぽか健康保険組合か)や都道府県、年度によって変わる。以下の数字はあくまで考え方を示すための概算であり、実際の金額は年金事務所・加入先の健康保険・社会保険労務士などで確認してほしい。

この記事でわかること

  • パートから正社員になると社会保険料の会社負担がなぜ増えるのか
  • 月給別の会社負担の増加額の概算(試算例)
  • キャリアアップ助成金との差し引きの考え方
  • 正社員化する前に確認しておきたい注意点

パートを正社員にすると社会保険料が増える理由

パートやアルバイトとして働いているときは、労働時間や賃金が一定の基準に満たなければ、健康保険・厚生年金保険の加入対象にならないことがある。この場合、会社が負担する社会保険料はほとんど発生しない。ところが正社員になると、原則として全員が健康保険・厚生年金保険の加入対象となり、会社は従業員と折半で保険料を負担する。

つまり「増える」といっても、正確には次の二つの要因が重なる。

  • 加入対象になることで、これまで発生しなかった会社負担が新たに発生する
  • 月給が上がる場合は、保険料の計算のもとになる標準報酬月額も上がり、会社負担がさらに増える

すでに社会保険に加入しているパートの場合は、月給の上昇分だけ負担が増える形になる。パートの時点で加入していたかどうかで、増加額の大きさは大きく変わる点に注意したい。パートの社会保険の適用拡大と助成金の関係については、パート・アルバイト採用でも使える雇用関係助成金まとめ2025年版でも触れている。

社会保険料の会社負担はどのくらい?概算の考え方

社会保険料は、健康保険料・介護保険料(40歳以上)・厚生年金保険料に、雇用保険料・労災保険料などを加えたものである。従業員と会社で折半する項目が多く、ざっくりとした目安は次のとおりである。

項目 概算の目安
労使合計の保険料率 おおむね約30%
会社負担の保険料率 おおむね約15%前後
従業員負担の保険料率 おおむね約15%前後(会社負担とほぼ同水準)

ここで大切なのは、上記が「概算」であるという点だ。健康保険料率は協会けんぽの場合も都道府県ごとに異なり、健康保険組合に加入している会社は組合ごとの料率になる。また、雇用保険料率や労災保険料率は業種によって異なり、労災保険料は全額会社負担である。正確な保険料は、標準報酬月額と各料率から個別に計算する必要がある。

月給別の会社負担の増加額(試算例)

会社負担の保険料率を「約15%」と置き、パートの時点では社会保険に未加入だったと仮定した場合の、会社負担の増加額の試算例を示す。実際には賞与や通勤手当、加入する健康保険の料率によって増減する点に注意してほしい。

正社員化後の月給(例) 会社負担の増加額(月・概算) 年間の増加額(概算)
18万円 約2.7万円 約32.4万円
20万円 約3.0万円 約36万円
25万円 約3.75万円 約45万円
30万円 約4.5万円 約54万円

たとえば月給20万円で正社員化した場合、年間約36万円の会社負担増が発生する、というのがこの試算の考え方である。この金額は毎年発生するため、複数年で見ると無視できない額になる。3年間続ければ、月給20万円のケースで約108万円という計算になる。

また、通勤手当も原則として社会保険料の算定対象になり、賞与にも保険料がかかる。年収ベースで見たときに、月給だけを基準にした試算より会社負担が大きくなる場合がある点も押さえておきたい。

パートがすでに社会保険に加入している場合

パートの時点で、労働時間・賃金などの条件を満たして社会保険に加入済みだったケースでは、正社員化による増加額は「月給が上がった分」だけになる。この場合の会社負担の増加額は、次のように考える。

  • 月給の増加額 × 会社負担の保険料率(約15%前後)が月あたりの増加額の目安
  • たとえば月給が3万円上がるなら、会社負担の増加は月4,500円前後(約15%で計算した場合)

未加入から加入する場合と比べて増加幅は小さくなる。自社のパートがどちらに当てはまるかを、まず年金事務所への届出状況などから確認しておくとよい。

キャリアアップ助成金の正社員化コースとは

パート・契約社員などの有期雇用労働者を正社員に転換した事業主に対して支給される代表的な制度が、キャリアアップ助成金の「正社員化コース」である。制度の概要は、キャリアアップ助成金2026年版完全ガイドや、キャリアアップ助成金「正社員化コース」の申請方法で詳しく整理している。

主な流れは次のとおりである。

ステップ 内容
1. 計画の作成 「キャリアアップ計画書」を作成し、労働局に提出する
2. 就業規則等の整備 正社員転換の制度(転換規定)を就業規則等に明記する
3. 正社員へ転換 対象労働者を正社員に転換し、転換後の賃金を支払う
4. 支給申請 転換後の一定期間の賃金支払い後に支給申請する

助成額は、対象労働者の区分(有期雇用から転換か、無期雇用から転換かなど)や、企業規模、年度によって異なる。金額や要件は毎年見直されるため、必ず最新の支給要領や厚生労働省の案内で確認してほしい。

社会保険料の増加分と助成金の差し引きを試算する

ここでは、あくまで考え方を示すための仮定値を使って、差し引きを試算してみる。以下の助成額は説明のために置いた「仮の数字」であり、実際に受給できる金額を示すものではない。

年間の会社負担増を36万円(月給20万円のケース)とし、1人あたりの助成額を仮に40万円・60万円・80万円と置いた場合の比較は次のとおりである。

仮定した助成額(1人あたり) 1年目の差し引き 3年間の累計の差し引き
40万円 約+4万円 約▲68万円
60万円 約+24万円 約▲48万円
80万円 約+44万円 約▲28万円

(+は助成額が会社負担増を上回る額、▲は3年間の会社負担増の合計から助成額を引いた不足額)

この試算から見えてくるのは、助成金は保険料の増加分を1年目こそ相殺できても、長期で見れば会社負担が上回ることがある、という点である。助成金はあくまで「初期コストの一部を補う制度」であり、正社員化の判断は、増える人件費を上回る戦力化や定着効果が見込めるかどうかで行うのが基本になる。

正社員化の前に確認したい注意点

助成金を見込んで正社員化を進める場合、次の点を事前に確認しておきたい。

  • 計画書は、正社員に転換する前に労働局へ提出しておく必要がある(転換後に出しても対象外になる)
  • 就業規則などに転換制度を明記していなければ、支給対象にならない場合がある
  • 転換後の賃金が、転換前と比べて一定以上増えていることが求められる場合がある
  • 社会保険への加入義務を果たしていない事業所は、支給が受けられないことがある
  • 制度の支給額・要件は年度ごとに改正されるため、最新の支給要領で確認する

手順を誤ると受給できなくなる典型例については、複数の助成金を同時に申請する方法でも複数制度を組み合わせる際の注意点を整理している。また、社会保険料の負担そのものを抑えながら助成金を活用する考え方は、社会保険料を節約しながら助成金を最大受給する方法も参考になる。

専門家に相談するという選択肢

正社員化のコストと助成金の差し引きは、従業員の年齢・現在の加入状況・賃金設定・利用できる制度の組み合わせによって大きく変わる。自社のケースで実際にいくらの負担増になり、いくらの助成が見込めるのかは、社会保険労務士や助成金コンサルの無料相談でシミュレーションしてもらうのが早い。True Partnersのような助成金コンサルでは、従業員数や採用計画をもとに、受給できる可能性のある制度を整理してもらえる。

よくある質問(FAQ)

Q1. パートを正社員にすると、会社負担の社会保険料は月給の何%増えますか?

A. 保険料率は加入先や年度で異なるが、会社負担はおおむね約15%前後が目安である。ただし、パートの時点で加入済みかどうかで増加額は大きく変わるため、個別に計算する必要がある。

Q2. 正社員化の助成金があれば、社会保険料の増加は完全にカバーできますか?

A. 制度や助成額によっては1年目の増加分を補える場合もあるが、負担増は毎年続くため、長期では会社負担が上回ることがある。助成額は最新の支給要領で確認してほしい。

Q3. 雇用保険料も増えるのですか?

A. 週の所定労働時間が一定以上の場合はパートでも雇用保険に加入しているため、正社員化による増加は月給の上昇分に応じた部分にとどまることが多い。加入状況は個別に確認が必要である。

Q4. 社会保険料は賞与にもかかりますか?

A. 賞与にも保険料が課される。月給ベースの試算より、年間の会社負担は大きくなる場合がある。

Q5. 助成金の計画書は、正社員化した後で出しても間に合いますか?

A. 一般に、正社員に転換する前に計画書を提出しておく必要がある。手順を誤ると対象外になるため、事前に最新の要領を確認してほしい。

まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を

パートを正社員にすると、会社負担の社会保険料は概算で月給の約15%前後が新たに発生する。キャリアアップ助成金の正社員化コースで1年目の負担増を補える場合もあるが、長期では会社負担が上回ることがあり、計画書の事前提出など手順の確認が欠かせない。自社のケースは専門家のシミュレーションで確認したい。

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