キャリアアップ助成金とは【2026年版】|全コースの支給額と要件を一覧で解説

キャリアアップ助成金2026年版完全ガイド 雇用・採用助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用の正社員化や賃上げに取り組む事業主への助成金です。令和8年度は全6コースで、正社員化コースは中小企業で1人あたり最大80万円(重点支援対象者)。全コースの支給額と要件、加算の内容、申請の流れまで一覧で解説。


キャリアアップ助成金とは?令和8年度(2026年度)の最新概要

キャリアアップ助成金は、厚生労働省が所管する雇用関係助成金の一つで、非正規雇用労働者のキャリアアップ(処遇改善・正社員化)に取り組む事業主を支援する制度です。

制度の特徴

  • 受給しやすい:申請要件が比較的明確で、計画的に進めれば受給できる
  • コース数が多い:状況に応じた複数コースから選べる
  • 金額が大きい:正社員化コースで1人あたり最大80万円(中小企業・重点支援対象者)
  • 継続性がある:年間複数回申請可能

令和8年度のコース一覧と支給額

コース名 主な内容 支給額(中小企業)
正社員化コース 非正規→正社員転換 1人あたり最大80万円(重点支援対象者。それ以外は40万円)
障害者正社員化コース 障害のある有期雇用労働者等の正社員転換 最新の支給要領で確認(本記事では割愛)
賃金規定等改定コース 基本給の賃金規定を3%以上増額 1人あたり4万〜7万円
賃金規定等共通化コース 正規・非正規の賃金規定の共通化 1事業所あたり60万円
賞与・退職金制度導入コース 非正規への賞与・退職金制度の新設 1事業所あたり40万円(両方を同時導入は56万8,000円)
短時間労働者労働時間延長支援コース 週所定労働時間の延長と社会保険の加入 1人あたり40万円(1年目)

各コースの申請手順と必要書類は、キャリアアップ助成金の申請手順と必要書類【2026年版】|正社員化コースの流れで詳しく解説しています。(出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」)


正社員化コース:支給額と要件の全詳細

最も多く活用されているのが「正社員化コース」です。このコースを詳しく解説します。

支給額

転換前の雇用形態・対象者 中小企業 大企業
有期雇用→正規(重点支援対象者) 80万円(40万円×2期) 60万円(30万円×2期)
有期雇用→正規(それ以外) 40万円(40万円×1期) 30万円(30万円×1期)
無期雇用→正規(重点支援対象者) 40万円(20万円×2期) 30万円(15万円×2期)
無期雇用→正規(それ以外) 20万円(20万円×1期) 15万円(15万円×1期)

重点支援対象者とは、次のいずれかに当たる人です。
・雇入れから3年以上の有期雇用労働者
・雇入れから3年未満で、過去5年間に正規雇用だった期間が合計1年以下、かつ過去1年間に正規雇用されていない有期雇用労働者
・派遣労働者(派遣先で直接雇用する場合)、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者
重点支援対象者は2期に分けて支給されます(転換後6か月ごとに申請)。1年度1事業所あたりの申請上限は20名です。

さらに、事業所ごとに1回のみ、次の加算があります。

加算条件(1事業所につき各1回のみ) 中小企業 大企業
正社員転換制度を新たに規定し、転換した場合 20万円 15万円
多様な正社員制度(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)を新たに規定し、転換した場合 40万円 30万円
転換等に関する情報を自社サイトまたは職場情報総合サイト(しょくばらぼ)で公表した場合 20万円 15万円

加算は事業所につき各1回のみで、2人目以降の転換では加算されません。新規学卒者は、雇入れから1年を経過していない場合は対象外です。

支給の基本要件

  1. 1. キャリアアップ計画書を事前に提出していること
  2. 2. 転換前に6ヶ月以上、有期雇用で雇用していること(有期→正規の場合)
  3. 3. 転換後も継続して6ヶ月以上雇用していること
  4. 4. 転換後6か月の賃金が、転換前6か月と比べて3%以上増額していること
  5. 5. 就業規則に正社員転換規定が定められていること

申請の流れ:キャリアアップ計画から支給まで

ステップ1:キャリアアップ計画書の作成・提出

申請の第一歩は「キャリアアップ計画書」の提出です。転換を実施する前に、管轄のハローワークに提出し、確認印をもらう必要があります。

計画書に記載する主な内容:

  • 事業所の概要(事業内容・従業員数等)
  • 非正規雇用労働者の現状
  • キャリアアップの目標(転換人数・時期等)
  • 転換の手順・方法
  • 期間(計画期間:3年間が目安)

ステップ2:就業規則の整備

正社員転換規定が就業規則に明記されていない場合は、事前に整備します。「一定の条件を満たした有期雇用労働者を正社員に転換する」旨の規定が必要です。

就業規則整備のポイント:

チェック項目 内容
正社員転換の要件 具体的な条件(勤続期間・評価基準等)が明記されているか
転換の手続き 申請→審査→転換の流れが規定されているか
賃金規定 転換後の賃金体系が明確か
周知方法 全労働者に周知されているか

ステップ3:対象労働者の転換実施

計画書提出後、計画に従って非正規労働者を正社員に転換します。転換に際して、以下を実施します。

  • 労働条件通知書・雇用契約書の新規作成
  • 雇用保険・社会保険の被保険者区分変更手続き
  • 賃金の増額(転換前6か月と比べて3%以上)の実施

ステップ4:支給申請書の提出

転換後6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に、支給申請書を提出します。

必要書類一覧:

書類名 内容・備考
キャリアアップ助成金支給申請書 所定様式
キャリアアップ計画書(認定済み) ハローワーク確認印あり
正社員転換の辞令・通知書の写し 転換日が確認できるもの
転換前後の雇用契約書の写し 労働条件の変化が確認できるもの
賃金台帳(転換前後6ヶ月分) 3%以上の賃金増額を確認
出勤簿(転換後6ヶ月分) 継続雇用を確認
就業規則(正社員転換規定を含む) 労基署の受付印あり
雇用保険資格取得等確認通知書 正社員としての被保険者資格

賃金規定等改定コース:基本給を3%以上上げると1人4万〜7万円

制度の概要

有期雇用労働者等の基本給の賃金規定を3%以上増額改定し、その規定を適用した事業主に支給されるコースです。正社員転換を行わなくても申請できるため、多くの事業所で活用されています。

支給額

賃金の増額率 1人あたり(中小企業) 1人あたり(大企業)
3%以上4%未満 4万円 2.6万円
4%以上5%未満 5万円 3.3万円
5%以上6%未満 6.5万円 4.3万円
6%以上 7万円 4.6万円

例えば対象者10人の基本給を6%以上増額した場合は、7万円×10人=70万円です(1年度1事業所あたりの申請上限は100名)。このほか、職務評価の手法を活用して賃金規定等を増額改定した場合、または有期雇用労働者等に適用される昇給制度を新たに規定した場合は、それぞれ20万円(大企業15万円)が加算されます。(出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」)

注意点

  • 引き上げは就業規則・賃金規定の改定によるものであること(個別の昇給は対象外)
  • 引き上げ後の賃金が地域別最低賃金を上回っていること
  • 支給申請前に6ヶ月分の賃金支払いが完了していること

賞与・退職金制度導入コース

制度の概要

すべての有期雇用労働者等を対象に、賞与制度または退職金制度(もしくはその両方)を就業規則等で新たに設け、支給または積立てを実施した事業主に支給されるコースです。1事業所につき1回のみです。

導入内容 支給額(中小企業) 支給額(大企業)
賞与制度のみ導入 40万円 30万円
退職金制度のみ導入 40万円 30万円
両方を同時導入 56万8,000円 42万6,000円

賞与の支給(または退職金の積立て)を始めてから6か月以上運用し、その6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に申請します。


キャリアアップ助成金を最大限活用する戦略

複数コースの組み合わせ

キャリアアップ助成金は、同一の労働者に対して複数コースを組み合わせることができます(一部制限あり)。

組み合わせ例 合計支給額(中小・有期→正規)
正社員化コース + 賞与・退職金コース 80万円 + 40万円 = 120万円
正社員化コース + 賃金規定等改定コース 80万円 + α

計画的な転換スケジュール

1年間に転換できる人数の目安を事前に計画し、計画書に記載することで、スムーズな申請が可能になります。

年間スケジュールの例:

時期 転換人数 申請時期(目安)
4月転換 2人 同年10〜12月ごろ(賃金の締日・支払日で変動)
10月転換 2人 翌年4〜6月ごろ(賃金の締日・支払日で変動)
合計 4人 年2回申請

よくある失敗と対策

失敗事例 原因 対策
計画書を出す前に転換してしまった 手続きの順番を知らなかった 必ず計画書提出→転換の順で進める
賃金の増額が3%に届いていなかった 制度の要件を見落とした 転換前6か月と比べ、3%以上の増額となるよう事前に試算する
就業規則に転換規定がなかった 規定なしで転換してしまった 計画書提出前に就業規則を整備する
申請期限を過ぎてしまった 賃金支払日の翌日から2か月の期限を忘れた カレンダーに申請期限を設定する

まとめ|助成金活用はTrue Partnersにお任せください

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員転換や賃金引き上げを計画的に進めることで、中小企業が正社員化コースで1人あたり最大80万円(重点支援対象者)などを受給できる制度です。令和8年度も全6コースが用意されており、人材の定着・育成を目指す企業にとって有力な選択肢です。計画書の事前提出・就業規則の整備・3%以上の賃金増額という3つのポイントを押さえ、確実な受給を目指しましょう。

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