地方移転・地方拠点強化税制とは、東京23区の企業が地方へ本社機能を移転・強化した際に法人税の税額控除や特別償却が受けられる制度です。移転型は建物取得費の最大7%税額控除、雇用促進では1人あたり最大60万円の控除が受けられ、地域雇用開発助成金などと組み合わせれば総額数千万円規模の支援も狙えます。2026年度も制度の継続が見込まれており、対象地域・適用期限を含めて2026年版として最新情報を完全ガイドします。
東京一極集中の解消と地方創生を推進するため、政府は企業の地方移転・地方拠点の強化に対してさまざまな税制優遇・助成金・補助金制度を用意しています。本記事では地方拠点強化税制を中心に、地域雇用開発助成金や自治体独自の支援策まで、移転・拠点強化を検討している企業向けに徹底解説します。
地方移転・地方拠点強化に活用できる制度の全体像
企業が東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)から地方に移転したり、地方に新たな拠点を設置・強化したりする際に活用できる制度は大きく3つのカテゴリに分かれます。
| カテゴリ | 主な制度 | 所管 |
|---|---|---|
| 税制優遇 | 地方拠点強化税制 | 経済産業省・内閣府 |
| 助成金 | 地域雇用開発助成金 | 厚生労働省 |
| 補助金 | 地方への本社機能移転補助金(各自治体) | 各自治体・内閣府 |
地方拠点強化税制の概要と2026年度の内容
制度の仕組み
地方拠点強化税制は、東京23区内に本社等を持つ企業が地方移転または地方拠点の強化を行った場合に、法人税・所得税の税額控除・特別償却が受けられる制度です。
2つのコース
#### コース1:移転型(東京からの本社機能移転)
東京23区から特定地域(地方)に本社機能等を移転した場合に適用されます。
| 優遇内容 | 内容 |
|---|---|
| 建物・設備取得 | 取得価額の25%特別償却または7%税額控除 |
| 雇用促進(転勤者) | 1人あたり60万円の税額控除 |
| 雇用促進(新規雇用) | 1人あたり50万円の税額控除 |
#### コース2:拡充型(地方拠点の機能強化)
既存の地方拠点において、本社機能を強化した場合に適用されます。
| 優遇内容 | 内容 |
|---|---|
| 建物・設備取得 | 取得価額の15%特別償却または4%税額控除 |
| 雇用促進(転勤者) | 1人あたり30万円の税額控除 |
| 雇用促進(新規雇用) | 1人あたり20万円の税額控除 |
対象となる「本社機能」とは
地方拠点強化税制で「本社機能」と認められるのは以下の部門です。
| 対象部門 | 具体例 |
|---|---|
| 情報処理部門 | システム開発・データ分析部門 |
| 調査・企画部門 | 経営企画・マーケティング部門 |
| 研究開発部門 | R&Dセンター・技術開発部門 |
| 国際事業部門 | 海外営業・輸出業務部門 |
| その他管理部門 | 人事・法務・財務部門(本社から移転の場合) |
申請手順(地方拠点強化税制)
- 1. 計画の策定:地方拠点強化計画を作成
- 2. 認定申請:都道府県知事の認定を取得
- 3. 移転・拡充の実施:計画に従い移転や機能強化を実施
- 4. 確定申告時に適用:法人税申告書に別表を添付して税額控除等を申告
地方拠点強化税制の対象地域・適用期限はいつまで?
対象地域の考え方
地方拠点強化税制の対象地域は、都道府県が策定する「地域再生計画」に基づいて指定されます。移転元・移転先の関係を整理すると次のとおりです。
| 区分 | 該当エリアの考え方 |
|---|---|
| 移転元(対象となる本社等の所在地) | 東京23区(近郊の一部を含むケースあり) |
| 移転先(対象となる地域) | 各都道府県が指定する「地方活力向上地域」等 |
| 対象外となりやすいエリア | 東京圏・近畿圏・中部圏の中心部など人口集中地区 |
移転先が対象地域に含まれるかどうかは自治体ごとに異なるため、計画策定前に必ず移転先の都道府県窓口へ確認することが重要です。
適用期限はいつまで?
地方拠点強化税制は数年ごとに適用期限が延長されてきた制度で、2026年度についても実施の継続が見込まれています。ただし税額控除の対象となるのは、都道府県知事の認定を受けた上で期限内に本社機能の移転・拡充を完了した場合に限られます。最新の適用期限や制度変更の有無は、経済産業省や移転先自治体の企業誘致窓口で必ず確認しましょう。
地方拠点強化税制を一言でいうと?(初心者向けやさしい解説)
専門用語が多く難しく感じる制度ですが、要点だけ押さえれば構造はシンプルです。かみくだくと次のようになります。
| 専門用語 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 特別償却 | 設備投資した年に経費を多めに計上できる仕組み(税金を先送りできる) |
| 税額控除 | 払うべき法人税そのものを一定額差し引ける仕組み(節税効果が直接的) |
| 移転型・拡充型 | 「東京から出ていく」なら移転型、「地方拠点をパワーアップする」なら拡充型 |
| 本社機能 | 経営企画・研究開発・情報システムなど「頭脳」にあたる部署のこと |
つまり「東京の本社機能を地方に持っていく(または地方拠点を強化する)と、設備投資と雇用の両面で法人税が安くなる」というのがこの制度の一言まとめです。適用には都道府県知事の事前認定が必要な点だけ、忘れずに押さえておきましょう。
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
制度の概要
雇用機会が少ない地域(同意雇用開発促進地域等)で、事業所の設置・整備を行い、雇用を創出した企業に支給される助成金です。
主な要件と支給額
| 地域区分 | 施設・設備費 | 増加雇用者数 | 助成額 |
|---|---|---|---|
| 同意雇用開発促進地域 | 100万円以上 | 3人以上 | 最大600万円 |
| 過疎等地域 | 500万円以上 | 5人以上 | 最大1,000万円 |
助成額は施設・設備費の額と増加雇用者数の両方に応じて決まります。助成は3年間にわたって分割支給されます。
支給額の計算方法
| 施設・設備費 | 増加雇用者数 | 1回あたり助成額(3回分計) |
|---|---|---|
| 250万円未満 | 3〜4人 | 48万円(計144万円) |
| 1,000万円以上 | 10〜19人 | 340万円(計1,020万円) |
| 3,000万円以上 | 30人以上 | 600万円(計1,800万円) |
※地域区分や事業の詳細によって異なります。
各自治体の移転補助金・優遇制度
自治体独自の支援制度
地方移転に際しては、国の制度に加えて各都道府県・市町村の独自の補助金・優遇制度も活用できます。
| 都道府県 | 制度名(例) | 主な内容 |
|---|---|---|
| 北海道 | 企業誘致優遇制度 | 土地取得費補助・固定資産税減免 |
| 宮城県 | 企業立地促進助成金 | 設備投資額の最大10%補助 |
| 長野県 | 企業立地促進資金 | 低利融資・補助金 |
| 福岡県 | 立地促進補助金 | 設備投資補助・雇用奨励金 |
| 熊本県 | 企業立地奨励金 | 設備取得費の最大10%補助 |
自治体によっては、移転後5〜10年間の固定資産税免除や、従業員向けの住宅補助なども提供されています。
問い合わせ先
各自治体の制度は変更が多いため、移転先の都道府県・市町村の「企業誘致担当窓口」に直接問い合わせることを強くお勧めします。
地方移転を検討する際のコスト比較
東京 vs 地方のコスト比較(オフィス)
| 費用項目 | 東京23区(例) | 地方中核都市(例) | 差額 |
|---|---|---|---|
| オフィス賃料(100坪) | 月100〜200万円 | 月20〜50万円 | 月50〜150万円削減 |
| 従業員採用費(1人) | 50〜100万円 | 30〜60万円 | 20〜40万円削減 |
| 平均給与水準(事務職) | 月28〜35万円 | 月22〜28万円 | 月6〜7万円削減 |
5年間でオフィス賃料だけでも数千万円のコスト削減になるケースもあります。
地方拠点強化税制のメリット・デメリット
メリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 法人税の負担軽減 | 特別償却・税額控除により、移転・拠点強化にかかった投資額の一部を法人税から直接差し引ける |
| 雇用促進とのダブル控除 | 建物・設備への投資だけでなく、転勤者・新規雇用者1人ごとにも控除が上乗せされる |
| 助成金との併用が可能 | 地域雇用開発助成金など現金給付型の制度と組み合わせて活用できる |
| 採用・賃料コストの低減 | 地方は東京に比べ賃料・人件費が低く、税制優遇と合わせて中長期のコスト削減につながる |
デメリット・注意点
| デメリット・注意点 | 内容 |
|---|---|
| 事前認定が必須 | 都道府県知事の認定を受ける前に着手した投資・雇用は控除の対象外となる |
| 移転コストが発生 | オフィス移転や従業員の転居支援など、初期費用は別途必要になる |
| 対象地域が限定的 | 移転先が「地方活力向上地域等」に指定されていなければ適用できない |
| 手続きに時間がかかる | 計画策定から認定取得まで一定の期間を要するため、早めの準備が欠かせない |
税額控除のメリットは大きい一方、事前認定や対象地域の確認といった手続き面のハードルもあるため、社内だけで判断せず専門家に相談しながら計画を進めるのが安全です。
地方移転・拠点強化でよくある失敗と対策
| 失敗パターン | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 計画認定前に工事・発注を始めた | 手続きの順番を知らなかった | 必ず認定を先に取得する |
| 対象地域外への移転だった | 制度の対象地域を確認していなかった | 事前に担当機関に確認する |
| 増加雇用数が不足した | 採用計画が甘かった | 採用計画を保守的に見積もる |
| 自治体の制度と重複申請できなかった | 調整を知らなかった | 国と自治体の制度を事前に整理する |
よくある質問(FAQ)
Q1. 地方拠点強化税制は誰でも使えますか?
青色申告法人であることが前提で、都道府県が策定した「地域再生計画」の対象地域に移転・拠点強化することが条件です。まずは移転先が対象地域かどうかを都道府県の窓口で確認しましょう。
Q2. 地方拠点強化税制と地域雇用開発助成金は併用できますか?
はい、原則として併用可能です。税額控除(地方拠点強化税制)と現金給付(地域雇用開発助成金)は性質が異なるため、両方の要件を満たせば同時に活用できます。
Q3. 移転型と拡充型はどちらがお得ですか?
優遇率だけを見れば移転型(本社機能を丸ごと東京から地方に移す)の方が控除額は大きくなります。ただし移転コストや業務への影響も大きいため、既存の地方拠点を強化する拡充型から始める企業も少なくありません。
Q4. 認定を受けずに移転してしまったら制度は使えませんか?
原則として、計画の認定を受ける前に着手した投資・雇用は対象外になります。移転や拠点強化を検討し始めた時点で、早めに認定申請の準備に着手することが重要です。
Q5. 自治体独自の補助金と国の制度は同時に使えますか?
制度によります。同一経費への重複助成を禁止しているケースがあるため、対象経費を分けて申請する、あるいは事前に両制度の窓口へ確認するなどの調整が必要です。
Q6. 地方拠点強化税制はいつまで申請できますか?
制度の適用期限は数年単位で延長される形が続いており、2026年度も実施が見込まれています。ただし年度ごとに要件や期限が見直される可能性があるため、移転を検討し始めた時点で最新の適用期限を都道府県窓口や経済産業省の情報で確認することをおすすめします。
Q7. 小規模企業でも地方拠点強化税制を利用できますか?
企業規模による制限は設けられておらず、要件を満たせば中小企業でも活用できます。ただし移転・拠点強化にかかる初期費用や、認定計画の作成には一定の実務負担が生じるため、規模の小さい企業ほど早めに専門家へ相談し、無理のない計画を立てることが重要です。
まとめ|助成金活用はTrue Partnersにお任せください
地方移転・地方拠点強化は、税制優遇・助成金・補助金・自治体の独自支援を組み合わせることで、初期コストを大幅に抑えながら実現できます。2026年度も地方拠点強化税制と地域雇用開発助成金が継続される見込みで、複数制度を組み合わせれば総額数千万円規模の支援を受けられる可能性があります。ただし、制度ごとに申請時期・対象地域・要件が異なるため、専門家のサポートのもとで計画を立てることが重要です。
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