同じ従業員で助成金は2回もらえる?【2026年版】|重複受給のルールと併給の可否

同じ従業員で助成金は2回もらえる?【2026年版】 未分類

結論、同一の労働者に対して同一の取組みで複数の助成金を重ねて受給することは原則できない。ただし対象となる労働者や取組みの内容が異なれば、別の助成金を併用できる場合がある。線引きの考え方を整理する。

結論|同じ人・同じ取組みでの重複受給は原則不可

助成金は、企業が行った特定の取組み(正社員化、賃上げ、研修の実施など)に対して国が費用の一部を補うしくみである。そのため、同一の労働者に対して同一の取組みを理由に、複数の助成金から重ねて支給を受けることは、多くのコースで認められていない。いわゆる「二重取り」は制度の趣旨に反するため、審査の過程で厳しくチェックされる項目のひとつだ。

一方で、これは「同じ従業員に対しては一切助成金が使えない」という意味ではない。対象となる取組みや助成金の目的が異なれば、同じ従業員を対象に別の制度を利用できるケースは珍しくない。重要なのは「誰が対象か」ではなく「何を理由に支給されるか」という点である。

なぜ重複受給がNGとされるのか|助成金の「目的」と「取組み」の考え方

助成金は雇用保険料等を財源としており、企業が実際に負担した費用や実施した取組みに対する補填という性格を持つ。同じ取組みに対して複数の制度から支給を受けてしまうと、実質的に負担していない費用まで補填されることになり、制度の公平性が損なわれる。

このため多くの助成金の支給要領には、同一の措置について他の助成金(あるいは国・地方自治体の他の給付金)から重複して支給を受けていないことを確認する項目が設けられている。申請時には、他制度の利用状況について申告を求められることが一般的だ。うっかりミスによる無自覚な二重取りのリスクについては、助成金の二重申請・不正受給を防ぐための基礎知識でも詳しく解説している。

判断の軸になるのは主に次の2点である。

  • 対象労働者が同一か:同じ人物を対象にしているか
  • 取組み・措置が同一か:正社員化、賃金引上げ、研修実施など、支給理由となった行為が同じか

この2つが両方とも重なる場合に「重複受給」とみなされやすい。逆にどちらか一方でも異なれば、併用の余地が出てくる。

パターンで整理する「重複受給」の可否

判断に迷いやすいパターンを表に整理した。あくまで一般的な傾向であり、実際の可否は制度ごとの支給要領に基づいて個別に確認する必要がある。

パターン 対象労働者 取組み・措置 重複受給になりやすいか
同じ人・同じ制度に再度申請 同一 同一 なりやすい(原則不可)
同じ人・別の制度(別コース) 同一 異なる(例:正社員化→研修) 併用できる場合がある
別の人・同じ制度 異なる 同一の枠組みだが対象者が別 重複にはあたらない
同じ人・同じ制度で対象期間が異なる 同一 制度上、複数回の申請が想定されている取組み コースの設計次第で可

たとえば「契約社員から正社員へ転換した」という取組みで一度助成金を受給した労働者について、その後さらに賃金規定を改定して賃上げを行った場合は、対象となる取組みそのものが別物であるため、別コースとして申請できる可能性がある。一方で、同じ正社員転換という一つの事実に対して、名目を変えて複数の制度から支給を受けようとする申請は、重複とみなされるリスクが高い。

同じ労働者でも別の助成金なら受給できるケース

対象労働者が同じであっても、取組みの内容が明確に異なれば、時期をずらして複数の助成金を活用できることは実務上よくある。代表的な流れとしては、まず非正規雇用から正社員へ転換する取組みで一つの助成金を活用し、その後、賃金制度の整備や人材育成のための研修実施といった別の取組みに対して、別の助成金を検討するという組み合わせが挙げられる。

このとき重要なのは、それぞれの申請で「今回の措置が過去に助成金を受けた措置と別物である」ことを説明できる状態にしておくことだ。就業規則の改定履歴、雇用契約書の変更内容、研修の実施記録などを時系列で整理しておくと、審査での確認にもスムーズに対応できる。複数年にわたって計画的に助成金を活用したい場合の考え方は、助成金を複数年で受給する計画の立て方で整理している。

同じ助成金で別の労働者なら重複にならない

同一の助成金コースであっても、対象となる労働者が異なれば重複受給の問題は生じない。たとえば正社員化を支援するコースでは、対象人数の上限や申請回数の制約が制度ごとに設けられていることが多いが、その範囲内であれば、複数の労働者について同じコースを繰り返し利用すること自体は制度上想定されている。

このケースで気をつけたいのは「重複受給」ではなく、支給申請ごとの上限人数や、1事業所あたりの年間の支給申請回数といった制約である。これらは助成金ごとに異なるため、複数人を対象に継続的に活用したい場合は、あらかじめ支給要領で上限や申請サイクルを確認しておくとよい。複数制度を組み合わせて受給総額を伸ばす考え方は、助成金の受給額を最大化する戦略を参考にしたい。

他の給付金・補助金との関係|併給調整が必要なケース

助成金同士だけでなく、国や地方自治体が実施する他の給付金・補助金との関係にも注意が必要だ。目的が重なる制度間では「いずれか一方を選択する」「一方の受給額が他方の対象経費から控除される」といった併給調整のルールが設けられていることがある。

特に、同じ設備投資や同じ人件費を対象経費として複数の制度に申請しようとする場合は、片方の制度で計上した費用をもう片方でも計上できるかどうかを事前に確認したい。申請書類の段階で他制度の利用状況の記載を求められることも多く、意図せず記載漏れがあると、後になって不支給や返還の対象となるおそれもある。

判断に迷う場合は、各制度の窓口(労働局・都道府県・市区町村など)に個別に確認するか、複数の制度を横断的に把握している専門家に相談する選択肢もある。制度ごとに管轄が異なるため、自社だけで全体像を把握するのは手間がかかる作業だ。複数の制度を同時並行で申請したい場合の組み合わせ方や進め方は、複数の助成金を同時に申請する方法で解説している。

重複受給を疑われないための管理のポイント

意図せず「重複と疑われる」申請をしてしまわないために、社内で整理しておきたいポイントを表にまとめた。

チェック項目 具体的な内容
過去の受給履歴の一覧化 どの労働者に対して、いつ、どの助成金を受給したかを台帳で管理する
取組みの内容を書面で残す 正社員化・賃上げ・研修などの実施内容と日付を明確に記録する
申請書の「他制度の利用状況」欄を正確に記入 過去の受給実績を漏れなく申告する
就業規則・賃金規定の改定履歴を保管 取組みが別物であることを説明できる資料をそろえる
不明点は事前に確認する 支給要領を確認し、判断がつかない場合は管轄窓口や専門家に相談する

これらを整理しておくことで、複数の助成金を活用する際にも、審査で説明を求められた場合に落ち着いて対応できる。

よくある質問(FAQ)

Q1. 同じ従業員を対象に、同じ年度内に2つの助成金へ申請しても大丈夫か。

A. 取組みの内容が明確に異なれば申請できる場合がある。ただし対象となる措置が実質的に同じ内容であれば重複とみなされる可能性が高いため、事前に支給要領を確認したい。

Q2. 過去に他社で助成金を受けていた労働者を、転職後に自社で正社員化した場合はどうなるか。

A. 前職での受給履歴と自社での取組みは別のものとして扱われるのが一般的だが、制度によって考え方が異なることもあるため、支給要領での確認が望ましい。

Q3. 重複受給が判明した場合、どうなるのか。

A. 不支給や、すでに受給した助成金の返還を求められる可能性がある。意図的でなくても、事実関係の確認や説明を求められることがあるため、正確な申告が重要だ。

Q4. 併用できるかどうかを自分で判断するのが難しい場合はどうすればよいか。

A. まずは各制度の支給要領を確認し、それでも判断がつかない場合は管轄の労働局や自治体窓口に問い合わせるとよい。制度を横断的に把握している社労士や助成金コンサルに相談する方法もある。

Q5. 補助金と助成金であれば、同じ経費で両方申請できるのか。

A. 制度によって併給調整のルールが異なる。同じ経費を重複して計上できないケースが多いため、申請前に両制度の要件を照らし合わせて確認する必要がある。

まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を

同一の労働者・同一の取組みでの重複受給は原則として認められないが、対象者や取組みの内容が異なれば複数の助成金を組み合わせて活用できる余地は十分にある。判断に迷う場面では、支給要領を都度確認しながら慎重に進めることが不支給や返還のリスクを避ける近道だ。制度の組み合わせを自社だけで見極めるのが難しいと感じたら、専門家に相談するという選択肢も検討したい。

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