結論、昼間学生のアルバイトは、原則として雇用保険の適用除外とされているため、雇用保険の被保険者であることを要件とする多くの雇用関係助成金では対象外になる。ただし、卒業見込みで卒業後も同じ会社で働く場合、休学中の場合、夜間・定時制の学生の場合など、例外として雇用保険の対象になるケースもある。さらに、卒業後に正社員として採用するなら、使える制度が出てくる可能性もある。本記事では、なぜ昼間学生が対象外になるのか、例外の整理、卒業後の採用を見据えた考え方を解説する。
この記事でわかること
- 昼間学生が雇用保険の適用除外とされる理由
- 助成金で学生アルバイトが対象外になりやすい仕組み
- 雇用保険の対象になりうる例外ケースの一覧
- 卒業後に正社員として採用する場合の助成金の考え方
昼間学生が雇用保険の対象外になる理由
雇用保険は、失業したときの生活を支え、再就職を後押しするための保険である。そのため、そもそも失業して求職活動をする前提にない人は、被保険者にしないという整理になっている。昼間に学校へ通う学生は、アルバイトを辞めても学業が本分であって、失業して職を探している状態とは考えにくい。この理由から、昼間学生は原則として雇用保険の適用除外とされている。
雇用保険の対象かどうかは、まず週所定労働時間と雇用見込みで判断され、そのうえで学生かどうかが確認される。つまり、週20時間以上働いていても、昼間学生であれば被保険者にならないのが原則だ。この基本は、雇用保険に入っていないパートは助成金の対象になる?で整理した週20時間の壁と、あわせて理解しておきたい。
助成金の対象外になる仕組み
雇用関係助成金の多くは、雇用保険の被保険者を対象労働者としている。キャリアアップ助成金の正社員化コースや、トライアル雇用助成金、人材確保等支援助成金などは、制度の財源が雇用保険であることから、被保険者であることを前提にしている。この関係は助成金と雇用保険の関係を完全解説でも詳しく述べている。
したがって、昼間学生のアルバイトを何人雇っていても、そのアルバイトは助成金の対象労働者としてカウントされないのが一般的だ。「人数が多いから助成金が使えそう」と考える前に、対象労働者の要件を確認する必要がある。
学生アルバイトが対象になる例外ケース
昼間学生でも、一定の条件を満たすと雇用保険の被保険者になる場合がある。主な例外は次のとおりである。
| 学生の状況 | 雇用保険の扱い(一般的な整理) | 助成金の対象になりうるか |
|---|---|---|
| 昼間学生(通常の大学・専門学校の通学) | 原則として適用除外 | 原則として対象外 |
| 卒業見込みで、卒業後も引き続き同じ事業所で働く予定 | 一定の条件で被保険者になりうる | 条件により対象になりうる |
| 休学中の学生 | 休学の実態があれば被保険者になりうる | 条件により対象になりうる |
| 夜間学部・定時制・通信制の学生 | 適用除外にならない | 週所定労働時間などの要件を満たせば対象になりうる |
| すでに事業所の雇用保険に加入している社員が後から通学を始めた | 引き続き被保険者のまま扱われる場合が多い | 他の要件を満たせば対象になりうる |
| 出席を前提としない学校(一部の通信制など) | 個別に判断される | ハローワークの確認が必要 |
※実際の扱いは学校の種類や在籍状況で変わるため、必ず管轄のハローワークに個別に確認してほしい。
卒業見込みで卒業後も継続して働く場合
卒業を目前に控えた学生が、すでに卒業後も同じ会社で勤務することが決まっている場合は、雇用保険の被保険者として扱われる余地がある。ただし、手続きや必要な書類は自己判断せず、ハローワークの窓口で確認する必要がある。ここでの判断を誤ると、保険料の取扱いや助成金の対象労働者の判定に影響が出る。
休学中の学生
休学の実態がある場合、学業に専念する状態ではなくなるため、被保険者として扱われる場合がある。ただし、休学届の提出や休学期間の証明など、客観的な確認が求められる。形式的に休学扱いにしただけでは認められない可能性もあるため、慎重に進めたい。
助成金の審査で学生かどうかが確認される場面
助成金の申請では、対象労働者が雇用保険の被保険者であることが、雇用保険の資格取得届や被保険者証の写し、賃金台帳、出勤簿などで確認される。ここで、被保険者のはずの労働者が実は昼間学生で、本来は適用除外だったことが発覚するケースもある。その場合、助成金が支給されないだけでなく、すでに支給されていた場合は返還を求められる可能性がある。
対象労働者の要件の見落としは、助成金申請の「事業所要件」「対象労働者要件」の基礎知識に整理している「適用除外パターン」のひとつとして、よくある失敗と重なる。申請前にチェックリストで確認しておきたい。
- 対象労働者の雇用保険の資格取得届は提出されているか
- 週所定労働時間が制度の要件を満たしているか
- 昼間学生に該当しないか、該当する場合は例外にあたるか
- 学生の在籍状況(休学・卒業見込みなど)を示す書類を確認できるか
卒業後に正社員採用する場合の助成金の考え方
学生アルバイトそのものは対象外でも、卒業後に正社員として採用する場合は、制度の使い方が変わってくる。採用のタイミングや雇用形態によって、次のように整理できる。
| 採用のパターン | 助成金の考え方 |
|---|---|
| アルバイト期間中に雇用保険に未加入 → 卒業後に正社員として新規採用 | 新規採用として、採用時点からの助成金(雇用の入口に関する制度)を検討できる |
| アルバイト期間中の契約社員・有期雇用として加入 → 卒業後に正社員へ転換 | キャリアアップ助成金の正社員化コースなど、転換を支援する制度の対象になりうる |
| 学生時代から雇用保険に加入していた(例外ケース)→ 卒業後に正社員化 | 加入期間や契約内容が要件を満たしていれば対象になりうる |
とくに、学生時代のアルバイトを無期雇用や正社員に切り替えていく場面は、キャリアアップ助成金の考え方と相性がよい。制度の全体像はキャリアアップ助成金 正社員化コースの申請方法でまとめている。正社員化コースは、有期雇用などの労働者を正社員に転換することが要件であるため、転換前の雇用期間や雇用形態が重要になる。支給額や細かい要件は年度ごとに変わるため、必ず最新の支給要領で確認してほしい。
卒業後の採用を見据えた準備
- 内定の時点で、どの雇用形態から始めるのかを決めておく
- 就業規則に、正社員への転換制度や転換の基準を明記する
- 労働条件通知書や雇用契約書を、制度に沿った形で作成する
- 助成金によっては、転換や採用の前に計画届の提出が必要になる
採用前の準備を怠ると、後から助成金の対象外になってしまう恐れがある。パート・アルバイト全般の制度は、パート・アルバイト採用でも使える雇用関係助成金まとめも参考になる。
学生アルバイトを雇用している会社が気をつけること
昼間学生を雇用しているからといって、会社に社会保険や労働保険の義務が一切ないわけではない。労災保険は、学生アルバイトも含めてすべての労働者が対象になる。また、一定の条件を満たすと、学生であっても社会保険の取扱いが変わる場合がある。法令上の取扱いは、日本年金機構やハローワークなどの公式案内で最新の情報を確認してほしい。
助成金の観点では、学生アルバイトの人数が多い会社ほど、被保険者数や対象労働者の数を正確に管理することが大切になる。申請書類で人数を誤ると、審査で指摘される原因になる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 昼間学生を雇っていると、助成金は一切使えないのでしょうか?
A. 学生アルバイト自体は対象外になりやすいが、会社として別の社員を対象にした助成金は使える場合がある。制度ごとに対象労働者の定義を確認してほしい。
Q2. 夜間学部の学生のアルバイトは対象になりますか?
A. 夜間・定時制の学生は、雇用保険の適用除外にならないとされている。週所定労働時間など他の要件を満たせば、対象労働者になりうる。
Q3. 休学すれば助成金の対象にできますか?
A. 休学の実態があれば雇用保険の被保険者になる余地はあるが、形式的な休学では認められない可能性がある。ハローワークに確認が必要だ。
Q4. 卒業後に正社員になる予定の学生は、いつから対象になりますか?
A. 卒業後の正社員採用の時点から新規採用の制度を検討するか、有期雇用から転換する形でキャリアアップ助成金を検討するかなど、雇用の形によって異なる。
Q5. 学生かどうかの確認はどのように行われますか?
A. 雇用保険の資格取得手続きの際に、ハローワークが学生であるかどうかの確認を行う。必要に応じて在学証明書などの提出を求められる。
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昼間学生のアルバイトは、原則として雇用保険の適用除外のため、多くの雇用関係助成金では対象外になる。例外は卒業見込みで継続勤務する場合や休学中、夜間・定時制の場合などで、必ずハローワークで個別に確認したい。卒業後の正社員採用では、雇用形態に応じて使える制度が変わるため、採用前に計画を立てておくことが大切だ。
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