定年後に再雇用した社員は助成金の対象になる?【2026年版】|60歳以上の雇用で使える制度

定年後に再雇用した社員は助成金の対象になる?【2026年版】 雇用・採用助成金

結論から言うと、定年後の再雇用(継続雇用)そのものが、そのまま助成金の対象になるとは限らない。 自社の社員を定年後も引き続き雇う「継続雇用」と、他社で働いていた60歳以上を新たに迎える「新規の雇入れ」では、使える制度が違う。65歳超雇用推進助成金は、65歳以上への定年引上げや継続雇用制度の導入、無期雇用への転換などの制度面の取り組みが対象になる。特定求職者雇用開発助成金は60歳以上の新規雇入れが対象で、自社の継続雇用は基本的に外れる。金額や細かな要件は年度で変わるため、最新の支給要領で確認してほしい。

この記事でわかること

  • 定年後の再雇用で使える可能性のある3つの制度
  • 「継続雇用」と「新規の雇入れ」で助成金の扱いが変わる理由
  • キャリアアップ助成金で有期の再雇用者を扱うときの注意点
  • 60歳以上の雇用で助成金を狙うときのチェックリスト

定年後の再雇用と助成金の基本的な考え方

定年後の再雇用では、会社は定年に達した社員と新しい雇用契約を結び直す形が多い。多くの場合、給与や役職を見直したうえで、1年ごとの有期契約で更新していく。

助成金の側から見ると、この形は次の2つに分けて考える必要がある。

  • 自社で働き続ける人を、定年後も雇う(継続雇用):雇用が途切れず、会社としては「新しく人を迎えた」とは言えない
  • 他社を退職した人や離職中の人を、新たに雇う(新規の雇入れ):新たな雇用機会をつくったと評価される

雇用関係の助成金は、「新たな雇用機会の創出」を支援するものが多い。そのため、同じ60歳以上の人を雇う場合でも、継続雇用なのか新規雇入れなのかで、対象かどうかが大きく変わる。

継続雇用と新規雇入れの違い

まず、2つの形の違いを表で整理する。

項目 自社の定年後再雇用(継続雇用) 60歳以上の新規雇入れ
雇用の流れ 同じ会社で契約を結び直す 他社・離職中の人を新たに雇う
特定求職者雇用開発助成金 原則対象外(新たな雇入れではない) ハローワーク等の紹介を受けた場合に対象になり得る
65歳超雇用推進助成金 制度の導入・見直しをした事業主が対象になり得る 人を雇う制度ではないため関係が薄い
キャリアアップ助成金 有期から正社員等への転換がある場合に検討 雇入れ後の処遇改善で検討
注意点 制度の整備・就業規則の改定が必要なことが多い 紹介経路・過去の雇用関係が確認される

この表のとおり、自社の再雇用は「人を雇う」助成金ではなく、「制度を整える」助成金で考えるほうが筋がよい。

制度1|65歳超雇用推進助成金

高齢の社員が長く働ける環境を整えた事業主を支援する制度で、定年後再雇用を考える会社が最初に検討しやすい。大きく3つのコースがある。

コース 概要 再雇用との関係
65歳以上への定年引上げ等コース 定年の引上げ、定年の廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入など 再雇用の上限年齢を引き上げる場合に検討
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース 高齢者向けの賃金・評価制度や健康管理制度の整備 再雇用者の処遇を整える場合に検討
高年齢者無期雇用転換コース 50歳以上で定年未満の有期契約労働者を無期雇用に転換 定年前の有期社員が対象。定年後の有期再雇用者そのものは対象外とされる点に注意

ここで見落としやすいのは、無期雇用転換コースが「定年に達する前」の有期契約労働者を想定している点だ。定年後に有期で再雇用した人を無期に転換しても、このコースの対象とは限らない。個別の判断は、必ず最新の支給要領で確認してほしい。

制度の全体像や申請手順は、65歳超雇用推進助成金の完全ガイドで詳しく解説している。

就業規則の整備が前提になる

65歳超雇用推進助成金では、制度を導入した事実を、就業規則などで証明する必要がある。実際に制度を整備して運用していても、規程に書かれていなければ対象外になるおそれがある。申請の前に、社内の規程が最新の運用と合っているかを必ず見直したい。

制度2|特定求職者雇用開発助成金(60歳以上の新規雇入れ)

60歳以上65歳未満の高年齢者などを、ハローワーク等の紹介で新たに雇い入れ、継続して雇用する場合に検討できる制度だ。ただし、自社で定年を迎えた社員を再雇用するケースは、新たな雇入れにあたらないため対象外とされるのが基本である。

また、過去に自社や関連会社で雇用していた人を再び雇い入れる場合も、対象外とされることがある。この場合、離職からの期間や関連会社との関係が確認される。制度の概要は特定求職者雇用開発助成金の解説でまとめている。

確認ポイント 見られる内容
紹介経路 ハローワーク等の紹介を、雇入れ前に受けているか
対象者の年齢 雇入れ日時点の年齢が要件に合うか
過去の雇用関係 過去に自社・関連会社で雇用していなかったか
継続雇用の見込み 期間の定めのない雇用、または一定期間以上の見込みか

このように、60歳以上の人であっても、雇い入れの経緯によって対象かどうかが分かれる。

制度3|キャリアアップ助成金と有期再雇用者

定年後に有期契約で再雇用している社員を、正社員(多様な正社員を含む)や無期雇用に転換する場合、キャリアアップ助成金の正社員化コースを検討できる。ただし、再雇用者に関しては次の点に注意が必要だ。

  • 有期から無期への転換が、定年後再雇用の特例の扱いと重なることがある。無期転換ルールには、一定の高齢者に対する特例があり、通常の転換と扱いが異なる場合がある。
  • 助成金の対象になる有期契約労働者の条件(雇用期間、直前の待遇など)を満たしているかを確認する。
  • 転換後に賃金を大きく下げる設計だと、制度の趣旨に合わない場合がある。

また、転換した人がその後すぐに退職した場合、返還リスクが生じる制度もある。キャリアアップ助成金の対象者が退職したら?も確認しておきたい。コースごとの違いは、キャリアアップ助成金の全コース比較で整理している。

再雇用で助成金を狙うときのチェックリスト

定年後の再雇用を検討するときは、次の順で確認すると見落としが少ない。

  1. 1. 自社の社員の継続雇用なのか、新規の雇入れなのかを区別する
  2. 2. 継続雇用なら、65歳超雇用推進助成金など「制度整備型」の助成金を検討する
  3. 3. 新規雇入れなら、紹介経路の要件(ハローワーク等の紹介)を雇入れ前に満たす
  4. 4. 就業規則・雇用契約書を、運用に合わせて整える
  5. 5. 有期から無期などの転換を予定するなら、転換前に計画の届出が必要か確認する
  6. 6. 賃金台帳・出勤簿など、支給申請で求められる書類をそろえておく

再雇用で起こりがちな失敗

実際に起こりやすい失敗は次の3つだ。

失敗例 起きる理由 対策
再雇用者を新規雇入れとして申請した 継続雇用と新規雇入れの区別を誤った 雇用の流れを時系列で整理して判断する
就業規則が運用とずれていた 制度を導入したつもりで規程を直していなかった 申請前に規程を最新の運用に合わせる
計画届を出す前に転換した 手順の確認不足 転換前に届出の要否を支給要領で確認する

助成金は、制度を使うための手順や期限の縛りが多い。助成金申請でよくある失敗10パターンと対策も参考になる。

FAQ

Q1. 定年後に再雇用した社員が、特定求職者雇用開発助成金の対象になることはありますか?

A. 自社で定年を迎えた社員の再雇用は、新たな雇入れにあたらないため、原則として対象外になる。他社から60歳以上の人を新規に雇う場合は、紹介経路などの要件を満たせば対象になり得る。

Q2. 定年を65歳に引き上げると、助成金はもらえますか?

A. 65歳超雇用推進助成金の「65歳以上への定年引上げ等コース」に該当する可能性がある。引上げ後の年齢や措置の内容で要件が変わるため、支給要領の確認が必要だ。

Q3. 再雇用の際に給与を下げてもよいですか?

A. 再雇用で労働条件を見直すこと自体は多くの企業で行われている。ただし、助成金の種類によっては賃金の扱いが要件になる。制度を使うなら事前に確認しておきたい。

Q4. 助成金の金額はいくらですか?

A. 金額は、コース・企業規模・措置の内容によって異なり、年度で改定される。この記事では断定せず、厚生労働省や労働局の最新の支給要領で確認するようお願いしたい。

Q5. 自社で要件を判断できないときは?

A. 継続雇用か新規雇入れかの区別や、関連会社との関係の判断は難しいことがある。社会保険労務士など、助成金の専門家に依頼する選択肢がある。

まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を

定年後の再雇用は、継続雇用として「制度整備型」の助成金を考えるのが基本で、60歳以上の新規雇入れとは使える制度が違う。65歳超雇用推進助成金、特定求職者雇用開発助成金、キャリアアップ助成金は、それぞれ対象と注意点が異なる。年度ごとに要件が変わるため、最新の要領を確認しながら進めたい。迷うときは専門家に相談する選択肢もある。

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