労働保険料の未納・滞納があると助成金は受給できない?【2026年版】|不支給要件と解消の手順

労働保険料の未納・滞納があると助成金は受給できない?【2026年版】 申請手続き・税務ガイド

結論から言うと、雇用関係助成金の多くは支給要件のひとつに「労働保険料(労災保険料・雇用保険料)を滞納していないこと」を掲げています。労働保険料の未納・滞納がある状態では、原則として支給申請が認められない、または支給決定が保留・不支給となる可能性があります。ただし、分割納付の計画に従って納付している場合の扱いや、いつ時点の納付状況が審査されるかは制度・労働局によって取扱いが異なることがあるため、断定はできません。本記事では確認方法と解消の手順を整理します。実際の判断は必ず管轄の労働局・ハローワークに事前確認してください。

雇用関係助成金に共通する「労働保険料の納付」要件とは

雇用関係助成金の支給要件には、多くの制度で共通して次のような項目が設けられています。

  • 労働保険の適用事業所であること(労働保険関係が成立していること)
  • 労働保険料を滞納していないこと(あるいは滞納がある場合は一定の猶予・納付計画の状態にあること)
  • 支給申請日の時点、または審査時点で上記の状態が確認できること

「労働保険料」とは、労災保険料と雇用保険料をあわせた総称で、毎年度、事業主が概算保険料を申告・納付し、翌年度に確定申告で精算する「年度更新」という仕組みで納めます。この年度更新の手続きが滞っていたり、納付額に未納があったりすると、助成金の審査で不利になる可能性があります。

助成金がそもそもなぜ不支給になるのか、労働保険料以外の理由も含めて確認したい場合は「助成金がもらえない・不支給になる理由TOP10【2026年版】」も参考にしてください。

年度更新(毎年6〜7月の労働保険料申告)と助成金申請の関係

毎年6月1日から7月10日ごろにかけて行われる「年度更新」は、前年度に概算で納めた労働保険料を確定額で精算し、あわせて新年度分の概算保険料を申告・納付する手続きです。申告・納付の具体的な期日は年度により多少前後することがあるため、最新の日程は労働局の公表情報で確認してください。

助成金の支給申請のタイミングと、この年度更新の時期が重なることは珍しくありません。年度更新の申告・納付が期限内に完了していない状態のまま助成金の審査を受けると、労働保険料の納付状況を確認する項目で不利に働く可能性があります。逆に言えば、年度更新さえ期限内にきちんと終えておけば、労働保険料に関する要件でつまずくリスクは大きく下がります。助成金の申請を予定している事業主は、年度更新の申告スケジュールを社内の業務カレンダーに組み込み、遅延なく処理できる体制を整えておくことが実務上のポイントです。

概算保険料と確定保険料の違い

労働保険料は「概算保険料」と「確定保険料」という2つの考え方で構成されています。この違いを理解しておくと、年度更新のどの段階で未納・滞納が発生しやすいかが把握しやすくなります。

区分 内容 助成金審査との関係
概算保険料 その年度に見込まれる賃金総額をもとに、あらかじめ概算で算出して先払いする保険料 概算段階では確定額との差異が生じうるため、確定精算後の状況が重視される傾向がある
確定保険料 前年度の実際の賃金総額が確定した後、年度更新で精算する保険料 未納・滞納の有無を判断する基準として扱われることが多い

概算保険料と確定保険料の差額(不足分・超過分)は、翌年度の年度更新でまとめて精算されます。不足分の納付が遅れると、その時点で未納の状態とみなされる可能性があるため、差額の有無を早めに把握しておくことが望ましいでしょう。具体的な取扱いは制度・労働局により異なるため、詳細は事前に確認してください。

未納が判明したときの確認方法

自社の労働保険料に未納がないかを確認する方法は主に次の3つです。

確認方法 確認できる内容 備考
労働保険料の年度更新申告書控え・納付書の確認 申告済みの概算・確定保険料と納付状況 経理・総務部門で保管している控えを確認
労働局・労働基準監督署への照会 現時点での納付状況、未納の有無 電話または窓口で管轄の労働局に確認するのが確実
社会保険労務士・顧問税理士への確認 手続き代行を依頼している場合の納付状況 委託先が把握しているケースが多い

年度更新の申告時期や納付期限は年度によって案内されるため、最新の日程は厚生労働省・都道府県労働局の公表情報で確認してください。

分割納付・納付計画の扱い

労働保険料の納付が一時的に困難な場合、労働局に相談のうえ分割納付(納付の猶予や計画納付)が認められることがあります。分割納付中の扱いが助成金の審査でどう判断されるかは、制度や労働局によって取扱いが異なるため、次のポイントを事前に確認しておくことが重要です。

  • 分割納付の計画どおりに納付を継続していれば「滞納なし」と同様に扱われる場合があるのか
  • 逆に、分割納付中であること自体が不支給の対象になるのか
  • 審査時点でどこまで納付が完了している必要があるのか

これらは断定的に「大丈夫」「ダメ」と言い切れる項目ではなく、制度の支給要領や労働局の窓口の案内に従うべき部分です。分割納付の状態にある場合は、助成金の申請を検討する前に、必ず管轄の労働局またはハローワークの助成金担当窓口に相談することをおすすめします。

口座振替・延納(分割納付)を利用している場合の考え方

労働保険料の納付方法には、金融機関窓口での納付のほか、口座振替を利用している事業主も少なくありません。口座振替を利用している場合、振替日と実際に納付が反映されるタイミングにずれが生じることがあります。「振替の予定は入っているが、まだ納付済みとして反映されていない」という状態のまま助成金の審査を受けることがないよう、余裕を持ったスケジュール管理が必要です。

また、労働保険料には、一定の要件を満たす事業主が保険料を分割して納付できる「延納」という仕組みもあります。延納を利用している場合の扱いも、前述の分割納付・納付計画と同様に、制度・労働局によって取扱いが異なることがあるため、事前確認が欠かせません。

未納が判明してから申請可能になるまでの実務ステップ(時系列)

労働保険料の未納が判明した場合、どのような順序で解消を進めればよいのか、一般的な流れを時系列で整理しました。実際の進め方や各ステップにかかる期間の目安は制度・労働局によって異なるため、あくまで全体像の参考としてご覧ください。

ステップ タイミング 主な内容
STEP1 未納の把握 気づいた時点で速やかに 年度更新の申告書控え・納付書を確認し、未納額と対象期間を特定する
STEP2 労働局への相談 未納把握後、早期に 管轄の労働局・労働基準監督署に連絡し、納付方法(一括・分割)を相談する
STEP3 納付計画の確定 相談後 一括納付が困難な場合は分割納付(延納)の計画を確定させる
STEP4 納付の実行 計画に沿って 計画どおりに納付を継続し、納付の記録(領収証等)を保管しておく
STEP5 助成金申請の可否確認 納付状況が整った段階 該当する助成金の支給要領に照らして、申請可能な状態かを労働局・ハローワークに確認する

このステップはあくまで一般的な進め方の目安であり、実際にどの時点から申請が可能になるかは制度・労働局の判断によって異なります。未納が判明した場合は自己判断で進めず、早い段階で労働局の窓口に相談することが、遠回りに見えて最も確実な解消方法です。

いつ時点の納付状況が見られるか

助成金の審査では、多くの場合「支給申請時点」または「審査を行う時点」の労働保険料の納付状況が確認されます。ただし、具体的にどの時点のどの範囲(直近の年度更新分か、それ以前の未納も含むか等)が審査対象になるかは、制度ごとに定められた支給要領に記載されています。

助成金の申請手続き全体の流れを事前に把握しておくと、労働保険料の確認をどのタイミングで行うべきかも判断しやすくなります。全体の流れは「助成金の申請代行とは?仕組み・費用相場・メリット」でも解説しています。

申請を予定している助成金がある場合は、次の手順で確認しておくと安心です。

  1. 1. 該当する助成金の支給要領・パンフレットで「労働保険料の滞納」に関する要件の記載を確認する
  2. 2. 自社の労働保険料の納付状況を年度更新の控え・納付書で確認する
  3. 3. 不明点があれば、支給申請を行う前に労働局・ハローワークの助成金相談窓口に確認する

助成金には「評価期間」「支給対象期間」という考え方もあり、審査時点の判断とあわせて理解しておくと申請準備がスムーズになります。詳しくは「助成金の『評価期間』『支給対象期間』の考え方」で解説しています。

労働保険料の未納と社会保険の未加入・未納との違い

労働保険料(労災保険・雇用保険)の未納と、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の未加入・未納は、制度上別の枠組みです。混同しやすいポイントを整理します。

項目 労働保険料(労災・雇用保険) 社会保険(健康保険・厚生年金)
加入対象 労働者を1人でも雇用する事業所は原則加入 法人事業所等、要件を満たす事業所が加入
納付の仕組み 年度更新による概算・確定精算 毎月の保険料納付
助成金審査での扱い 多くの雇用関係助成金で滞納の有無が確認される 制度によっては社会保険の適正加入状況も確認されることがある
未加入・未納が発覚した場合 労働局に相談し是正・納付を進める 年金事務所に相談し是正・納付を進める

雇用関係助成金の中には、労働保険料だけでなく社会保険の適正な加入状況も審査の対象に含む制度があります。自社がどちらの保険についても適正に加入・納付できているかを、申請前にあわせて確認しておくとよいでしょう。

審査上の扱いの違い

労働保険料と社会保険料は、助成金審査の中での位置づけも異なります。労働保険料の滞納は雇用関係助成金の多くで明示的な不支給要件として定められている一方、社会保険の未加入・未納については、確認項目に含まれる制度と含まれない制度があります。そのため「労働保険料は完納しているが社会保険が未加入だった」というケースと、その逆のケースとでは、影響を受ける助成金の範囲や審査結果が異なる可能性があります。両方の状況を個別に、かつ申請予定の助成金の最新の支給要領に照らして確認することが重要です。

FAQ|労働保険料の未納・滞納と助成金に関するよくある質問

Q1. 労働保険料を1日でも滞納していると助成金はもらえませんか?

A. 取扱いは制度・労働局によって異なります。滞納の期間や金額、納付計画の有無によって判断が変わる可能性があるため、断定はできません。該当する助成金の支給要領を確認し、労働局に事前相談することをおすすめします。

Q2. 分割納付中でも助成金は申請できますか?

A. 分割納付の計画に従って納付している場合の扱いは制度・労働局によって異なることがあります。申請前に管轄の労働局・ハローワークへ確認してください。

Q3. 未納に気づいた場合、まず何をすればよいですか?

A. まず年度更新の申告書控え・納付書で状況を把握し、未納が確認できたら速やかに労働局に相談のうえ納付・是正を進めることが基本です。

Q4. 労働保険料を完納すればすぐに助成金を申請できますか?

A. 完納後、いつの時点から申請可能になるかは制度によって異なります。完納した事実の反映タイミングも含めて、労働局・ハローワークの窓口で確認してください。

Q5. 社会保険料の未納がある場合も助成金に影響しますか?

A. 制度によっては社会保険の適正加入・納付状況も確認対象に含まれることがあります。労働保険料とは別の制度であるため、両方の状況を個別に確認しておくことをおすすめします。

まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を

労働保険料の未納・滞納は、雇用関係助成金の支給要件に直結する重要なチェックポイントです。分割納付中の扱いや審査時点の判断は制度・労働局によって異なるため、申請前の事前確認が欠かせません。制度理解から書類整備まで不安がある場合は、専属の社労士チームを持つ事業者に相談する方法もあります。

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