有給休暇を取らせていないと助成金は不支給になる?【2026年版】|年5日の取得義務と審査の関係

有給休暇を取らせていないと助成金は不支給になる?【2026年版】 賃上げ・働き方改革

結論、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に年5日の取得をさせていないこと、それだけで直ちにすべての助成金が不支給になると決まっているわけではない。ただし、年5日の取得義務は労働基準法に定められた使用者の義務であり、違反している状態は「労働関係法令の違反」として、助成金の審査で問題視されうる。多くの雇用関係助成金では、申請事業主が労働関係法令を遵守していることが支給の前提とされているためだ。本記事では、年5日の取得義務の中身、助成金の審査との関係、年次有給休暇管理簿の整え方、年休に関連する助成金までを整理する。

この記事でわかること

  • 年5日の取得義務の対象者と、使用者がやるべきこと
  • 年5日の取得義務の違反が助成金の審査にどう関わりうるか
  • 助成金の申請前に整えておきたい年次有給休暇管理簿のポイント
  • 働き方改革推進支援助成金など、年休の取得促進に関連する制度

年5日の取得義務とは|対象者と使用者の責任

年5日の取得義務とは、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、使用者が付与日(基準日)から1年以内に、そのうち年5日を取得させなければならないという労働基準法上のルールである。労働者が自分で請求して取得した日数も年5日にカウントされるが、取得が年5日に届いていない場合は、使用者が労働者の意見を聴いたうえで時季を指定して取得させる必要がある。

対象になるのは正社員だけではない。パートやアルバイトでも、勤続年数や所定労働日数によって年10日以上の年休が付与される場合は、年5日の取得義務の対象になる。有期雇用の契約社員も同様だ。対象かどうかの目安を表にまとめた。

労働者の区分 年10日以上付与される目安 年5日の取得義務
週5日以上(または週30時間以上)勤務 入社6か月後に10日付与(出勤率8割以上が前提) 対象
週4日勤務 勤続3年6か月で10日付与 10日付与された時点から対象
週3日勤務 勤続5年6か月で10日付与 10日付与された時点から対象
週2日以下の勤務 年10日に届かないことが多い 対象外になりやすい

※付与日数は労働基準法の定めに基づく目安であり、個別の判断は労働基準監督署や社会保険労務士に確認してほしい。

この義務は、年5日の取得をさせなかった場合に罰則の対象となりうる。労働基準法上、違反した使用者には罰金が定められており、対象となる労働者1人につき1罪として扱われると説明されることが多い。助成金の話に入る前に、そもそも法律上の義務であるという点を押さえておきたい。

年5日の取得義務の違反は助成金の審査にどう関わるか

助成金は国の税金ではなく主に雇用保険の財源で運営されている。そのため、多くの助成金では、事業主が雇用保険料を納めていること、労働関係法令に違反していないことなどを支給の前提としている。この点は、残業代の未払いがあると助成金はもらえない?でも、労働関係法令違反と不支給の関係として詳しく整理している。

年5日の取得義務を果たしていない状態は、この「労働関係法令の違反」にあたる可能性がある。ここで大切なのは、次の3点を分けて考えることだ。

  1. 1. 年5日の取得義務の違反は、労働基準法違反として扱われうる
  2. 2. 助成金の支給要領には、法令違反がある場合に不支給とする、または支給を保留するといった趣旨の規定がある制度が多い
  3. 3. 実際にどう判断されるかは、制度ごと・事案ごとに異なり、一律に決まるわけではない

つまり、「年5日取得させていなければ必ず不支給」とも「何も影響しない」とも言えない。審査の過程で、出勤簿や賃金台帳、年次有給休暇管理簿が確認され、その中で取得状況の不備が見つかることはありうる。不支給や返還を避けるためには、申請の時点で法令どおりの運用ができている状態にしておくことが安全だ。

影響が出やすい場面

特に、次のような場面では確認が厳しくなる傾向がある。

  • 申請前に労働局や労働基準監督署の調査が入った場合
  • 賃金台帳・出勤簿・管理簿の記録同士に食い違いがある場合
  • 働き方改革推進支援助成金のように、労働時間や休暇の取得状況そのものが支給要件に絡む制度の場合

調査への備えは、労働局の実地調査・立入調査の対応ガイドで見られる書類と事前準備をまとめているので、あわせて確認しておくとよい。

助成金の申請前に整えたい年次有給休暇管理簿

年5日の取得義務とセットで、使用者には年次有給休暇管理簿の作成と保存が求められている。管理簿には、労働者ごとに時季(取得した日付)、日数、基準日を記載する。労働者名簿や賃金台帳と合わせて作成してもよく、システムで管理して必要なときに出力できる形でも差し支えないとされている。保存期間は、当面の間は3年とされているのが一般的な説明だが、助成金の書類保管の考え方も含めて、助成金申請書類の保管期間とルールを確認しておくと安心だ。

管理簿を整えるときの手順は次のとおりである。

手順 やること ポイント
1 対象者の洗い出し 年10日以上付与される労働者(パート・有期含む)を一覧にする
2 基準日の確認 入社日や一斉付与の日など、基準日を労働者ごとに整理する
3 取得日数の記録 労働者の請求による取得も、使用者の時季指定による取得も記録する
4 年5日に届かない人の特定 基準日から半年を過ぎても取得が少ない人を早めに見つける
5 時季指定の実施 労働者の意見を聴いて取得時季を指定し、記録を残す

加えて、就業規則に、年5日の時季指定を行うことを定めておく必要がある。休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項だからだ。就業規則の整備と助成金の関係は、助成金の就業規則作成・改定ガイドに整理している。

賃金台帳・出勤簿との整合も重要

審査で見られるのは管理簿だけではない。有給休暇を取得した日の賃金が正しく支払われているか、出勤簿と管理簿の日付が一致しているかといった整合性も確認される。書類の作り方は、賃金台帳・出勤簿の整備ガイドが参考になる。

年休に関連する助成金|働き方改革推進支援助成金など

年休の取得促進そのものを目的にした助成金も用意されている。代表的なのが働き方改革推進支援助成金で、中小企業が労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に取り組む際の費用の一部が助成される。コースによって、成果目標(時間外労働の削減、年休の計画的付与制度の導入など)が定められており、成果目標を達成することが支給の条件になる。

制度の詳細や支給額の上限は年度ごとに変わるため、必ず厚生労働省・労働局の最新の要領で確認してほしい。コース別の要件は働き方改革推進支援助成金「労働時間短縮・年休促進支援コース」の申請方法と、働き方改革助成金2026年版|残業削減・有給取得促進で受給できる3つの助成金に整理している。

観点 一般的な雇用関係助成金 働き方改革推進支援助成金(年休関連)
年5日の取得義務の位置づけ 法令遵守の前提として確認される 取組内容と成果目標に直結しやすい
事前の準備 制度ごとの計画届・就業規則整備など 交付申請と、取組の実施・成果の確認
注意点 法令違反があると不支給や保留になりうる 目標未達や要件違反だと支給されないことがある

年5日の取得義務を果たせていない会社が、働き方改革推進支援助成金の取組を通じて計画的付与制度を導入し、結果として義務の履行状況を改善する、という流れで制度を使うこともできる。

年5日を取得させるための現場の工夫

義務を守る具体策としては、次のようなものがある。

  • 年休の計画的付与制度を導入し、全社または班ごとに取得日をあらかじめ決める
  • 基準日から半年が過ぎた時点で、取得日数が少ない労働者へ個別に声をかける
  • 夏季・年末年始など繁閑の差がある時期に、取得を前提とした勤務シフトを組む
  • 管理簿をクラウドの勤怠システムで自動集計し、年5日未満の人を毎月確認する

人手が足りず休ませにくい職場では、助成金を使った業務の効率化や、採用による人員の確保とあわせて進めると現実的だ。労務管理の整備は、助成金の審査対策であると同時に、従業員の定着にもつながる。

よくある質問(FAQ)

Q1. 年5日の有給を取らせていないと、すべての助成金が不支給になりますか?

A. 一律に不支給と決まっているわけではない。ただし労働基準法違反の状態は審査で問題になりうるため、申請前に是正しておくことが望ましい。

Q2. パートやアルバイトも年5日の取得義務の対象ですか?

A. 年10日以上の年休が付与される労働者であれば、パート・アルバイト・有期雇用でも対象になる。週の所定労働日数や勤続年数で付与日数が決まる。

Q3. 年次有給休暇管理簿はどのくらい保存すればよいですか?

A. 労働基準法上は当面の間3年が目安とされる。助成金の申請では別途の保管期間が定められているため、制度ごとの要領も確認してほしい。

Q4. 管理職にも年5日の取得義務はありますか?

A. 管理監督者であっても、年10日以上の年休が付与される労働者であれば、年5日の取得義務の対象になる。

Q5. すでに年5日に届かなかった年がある場合はどうすればよいですか?

A. まずは現状の取得状況を整理し、今後の運用を是正したうえで、申請予定の助成金の要領や労働局の窓口に相談するのが安全だ。個別の事情は社会保険労務士にも確認したい。

まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を

年5日の取得義務を果たしていない状態は、労働関係法令の違反として助成金の審査に影響しうる。申請前に、対象者の洗い出し、年次有給休暇管理簿の整備、就業規則の確認を済ませておきたい。年休の取得促進そのものを支援する助成金もあるため、最新の支給要領を確認して活用を検討するとよい。

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