トライアル雇用助成金は、就職が困難な求職者をハローワーク経由で原則3ヶ月間試行雇用し、その後常用雇用へ移行させた事業主に対して助成金が支給される制度である。1人あたりの支給額は月額4万円が目安で、3ヶ月間の試行雇用を経ると合計12万円程度が支給される。本記事では対象者・対象事業主の要件から、試行雇用開始前の準備、常用雇用移行後の支給申請までの具体的な手順を解説する。
トライアル雇用助成金とは何か
トライアル雇用助成金は、職務経験の不足や長期離職などの理由で就職が困難な求職者を、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により原則3ヶ月間試行的に雇用する事業主を支援する制度である。試行雇用の期間中に求職者の適性や業務スキルを見極めた上で、常用雇用への移行を判断できる点が事業主・求職者双方にとってのメリットとなる。
対象となるのは、以下のような就職困難者に該当する求職者だ。
- 2年以内に離職と転職を2回以上繰り返している
- 妊娠・出産・育児等を理由として離職し、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
- 45歳以上で安定した職業に就いていない
- 就職氷河期世代(おおむね35〜54歳)で、正社員経験が少ない
- 母子家庭の母、父子家庭の父など
トライアル雇用助成金の対象者要件・対象事業主要件
助成金の支給を受けるためには、求職者側・事業主側それぞれに要件が設定されている。
対象者(求職者)の要件
- ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により雇い入れられた求職者であること
- 上記の「就職困難者」の類型のいずれかに該当すること
- トライアル雇用として雇用されることに求職者本人が同意していること
対象事業主の要件
- トライアル雇用開始日の前後6ヶ月間に、対象労働者を事業主都合で解雇していないこと
- 雇用保険の適用事業所であること
- トライアル雇用実施計画書をハローワークに提出し、受理されていること
- 過去に同一の求職者をトライアル雇用として雇用したことがないこと(再雇用の場合は対象外になるケースがある)
これらの要件は制度改定により変更される場合があるため、申請前に管轄のハローワークで最新情報を確認することが重要だ。
トライアル雇用助成金の支給額
支給額は対象労働者の属性によって異なり、一般的な目安は以下の通りである。
| 対象者区分 | 支給額(月額) | 支給対象期間 | 合計支給額の目安 |
|---|---|---|---|
| 一般(就職困難者) | 4万円 | 原則3ヶ月 | 12万円程度 |
| 母子家庭の母等 | 5万円 | 原則3ヶ月 | 15万円程度 |
| 障害者(トライアル雇用助成金・障害者トライアルコース) | 4万円(重度障害者等は8万円) | 原則3ヶ月(最長12ヶ月の場合あり) | 12万〜24万円程度 |
支給額・支給対象期間は年度ごとに見直される可能性があるため、実際の申請時には最新の要領を確認する必要がある。
トライアル雇用助成金の申請の流れ
申請から支給までは、大きく分けて「試行雇用開始前」「試行雇用期間中」「常用雇用移行後」の3段階で進行する。
| ステップ | 手続き内容 | タイミング |
|---|---|---|
| 1. ハローワークへの求人申込み | トライアル雇用を前提とした求人をハローワークに申し込む | 採用活動開始時 |
| 2. トライアル雇用実施計画書の提出 | 対象者を紹介された後、雇用開始までに提出 | 雇入れ日の前日まで |
| 3. トライアル雇用開始 | 実施計画書に基づき雇用契約を締結し試行雇用を開始 | 計画届提出後 |
| 4. 試行雇用期間中の勤務状況の記録 | 出勤簿・業務日誌等を整備し、適性を見極める | 試行雇用期間中(原則3ヶ月) |
| 5. 常用雇用への移行判断 | 試行雇用終了時点で常用雇用に切り替えるか判断 | 試行雇用終了時 |
| 6. 支給申請書の提出 | トライアル雇用終了日の翌日から2ヶ月以内に提出 | 試行雇用終了後 |
| 7. 労働局・ハローワークによる審査 | 出勤簿・賃金台帳等の確認 | 申請後 |
| 8. 助成金の支給 | 審査通過後に指定口座へ振込 | 審査完了後 |
支給申請書の提出期限(試行雇用終了日の翌日から2ヶ月以内)を過ぎると受給できなくなるため、スケジュール管理には特に注意が必要だ。
試行雇用から常用雇用への切り替え時のポイント
トライアル雇用は「試行雇用のまま終了する」ケースと「常用雇用へ移行する」ケースの両方があり得るが、助成金の趣旨としては常用雇用への移行を前提とした制度設計になっている。切り替えの際は以下の点に注意したい。
- 常用雇用への移行時に、雇用契約書の内容(雇用期間の定めの有無、賃金等)を明確に変更する
- 就業規則が常用雇用の労働条件と整合しているか確認する
- 試行雇用期間中の出勤状況・業務評価の記録を残しておく(審査で提出を求められる場合がある)
なお、トライアル雇用終了後に常用雇用へ移行せず契約を終了する場合でも、試行雇用期間分の助成金は要件を満たせば受給できる場合がある。ただし、正当な理由のない事業主都合の終了は不支給になる可能性が高い。
必要書類一覧
申請時に必要となる主な書類は以下の通りである。
| 書類名 | 用途 |
|---|---|
| トライアル雇用実施計画書 | 試行雇用開始前にハローワークへ提出 |
| トライアル雇用求人申込書 | ハローワークへの求人登録時に使用 |
| 雇用契約書の写し | 対象者との雇用条件を証明 |
| 出勤簿・タイムカードの写し | 試行雇用期間中の勤務実態を証明 |
| 賃金台帳の写し | 賃金支払い実態を証明 |
| 支給申請書 | 試行雇用終了後に提出 |
書類に不備があると審査が長引き、支給申請期限(試行雇用終了日の翌日から2ヶ月以内)を超過してしまうリスクがある。余裕をもった準備が望ましい。
よくある不支給理由
トライアル雇用助成金の申請でよく見られる不支給理由には、以下のようなものがある。
- 実施計画書の提出が雇入れ日より後になってしまった
- 対象労働者が「就職困難者」の要件に該当していなかった
- 事業主都合の解雇歴が過去6ヶ月以内にあった
- 出勤簿の記載内容と賃金台帳の支払い実績が一致していなかった
- 支給申請期限(試行雇用終了日の翌日から2ヶ月以内)を過ぎてしまった
特に「実施計画書の提出タイミング」は見落とされやすく、雇入れ後に提出してしまうと原則として対象外になる点に注意したい。
自分で申請する場合と専門家に依頼する場合の違い
トライアル雇用助成金は比較的シンプルな制度であるため、自社の総務担当者による申請も十分可能だ。ただし、他の助成金(キャリアアップ助成金等)と組み合わせて活用する場合や、複数名を同時にトライアル雇用する場合は、書類作成・スケジュール管理の負担が増える。
社労士等の専門家に依頼する場合、申請代行手数料が発生する分、実施計画書の提出漏れや期限超過といったミスを防ぎやすくなる。特に年間を通じて複数の助成金を併用する予定がある企業は、トライアル雇用助成金単体ではなく、自社が使える制度全体を専門家に診断してもらうことで、取りこぼしを防ぎやすい。
よくある質問(FAQ)
Q1. トライアル雇用助成金は試行雇用のまま終了しても受給できますか?
A. 常用雇用への移行が前提の制度だが、要件を満たせば試行雇用期間分の助成金を受給できる場合がある。ただし正当な理由のない事業主都合の終了は不支給になりやすい。
Q2. トライアル雇用の期間は必ず3ヶ月ですか?
A. 原則3ヶ月とされているが、対象者の状況により短縮される場合がある。詳細は管轄のハローワークに確認する必要がある。
Q3. 障害者を雇用する場合の支給額は異なりますか?
A. 障害者トライアルコースでは支給額・支給対象期間が一般トライアルと異なり、重度障害者等の場合は増額される場合がある。
Q4. トライアル雇用助成金と他の助成金は併用できますか?
A. 制度によって併用の可否が異なるため、キャリアアップ助成金等との組み合わせを検討する場合は事前に専門家へ確認することを推奨する。
Q5. 支給申請の期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
A. 原則として期限超過後の申請は受け付けられない。試行雇用終了日の翌日から2ヶ月以内という期限は厳守する必要がある。
まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を
トライアル雇用助成金は、就職困難者を試行雇用し常用雇用へ移行させることで1人あたり12万円程度が支給される制度である。実施計画書の提出タイミングや支給申請の期限管理がポイントとなり、これらのミスが不支給の主な原因になっている。他の助成金との併用を検討している場合は、専門家による全体診断を受けることでより多くの受給機会を逃さずに済む。
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