生産性要件とは、一部の雇用関係助成金において、企業の生産性が一定基準以上伸びている場合に支給額が割増されたり、逆に伸びていない場合に減額・不支給になったりする仕組みを指します。判定には「生産性=(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数」という計算式を用い、直近の会計年度と一定期間前の会計年度を比較します。ただしこの仕組みは制度改正によって適用対象や基準が見直される傾向が強い項目のため、自社が対象になるかは必ず最新の支給要領で確認する必要があります。
生産性要件とは何か
生産性要件は、助成金を通じて企業の生産性向上を後押しする目的で設けられてきた仕組みです。対象となる一部の雇用関係助成金では、企業の「生産性」が一定の基準を満たしている場合に、通常の支給額よりも高い金額(割増)が支給されたり、逆に生産性の伸びが確認できない場合には所定の措置が取られたりする制度設計になっています。
すべての助成金にこの要件があるわけではなく、対象となる助成金・コースは限定されています。また生産性要件に関する制度は、年度ごとの見直しによって対象助成金の範囲や判定基準、あるいは制度自体の存続が変更されることがある分野です。したがって「生産性要件があるから申請しよう/諦めよう」と判断する前に、対象となる助成金の最新の支給要領で、生産性要件の適用有無と内容を必ず確認することが大前提になります。
生産性の計算式
生産性要件で用いられる「生産性」は、一般的な経営指標としての生産性とは異なり、雇用保険法の枠組みに沿った独自の計算式で算出されます。基本となる計算式の構成要素は以下のとおりです。
| 構成要素 | 内容 |
|---|---|
| 営業利益 | 損益計算書上の営業利益 |
| 人件費 | 役員報酬・給与手当・賞与・法定福利費等の合計 |
| 減価償却費 | 損益計算書または勘定科目内訳明細書に基づく金額 |
| 動産・不動産賃借料 | 事業のために支払っている賃借料 |
| 租税公課 | 損益計算書上の租税公課 |
| 雇用保険被保険者数 | 算定対象期間における雇用保険被保険者数 |
計算式のイメージは「(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数」であり、この値を比較対象となる過去の会計年度の値と比べて、どの程度伸びているかを判定に用います。ただし各項目の具体的な算定範囲(含める勘定科目の細部など)は、助成金の様式・記入要領で細かく指定されているため、実際の計算にあたっては該当助成金の最新の様式・記入要領を必ず参照してください。
判定方法の考え方
生産性要件の判定は、一般的に「直近の会計年度の生産性」と「一定年数前(多くの制度で3年度前)の会計年度の生産性」を比較し、その伸び率によって扱いが変わるという設計が採られてきました。伸び率の区分(高い伸びなら割増、一定の伸びなら通常どおり、伸びが確認できない場合の扱いなど)は制度・年度によって定められており、金融機関からの一定の評価を伸び率の基準の代替として認める運用が設けられていた助成金もあります。
| 判定の考え方(一般的な枠組みの例) | 想定される扱い |
|---|---|
| 生産性の伸びが高い基準を満たす場合 | 割増等の優遇措置が適用される制度がある |
| 一定の伸びにとどまる場合 | 通常どおりの支給額となる制度がある |
| 直近3年度以内に離職率が一定以上上昇している場合等 | 適用が制限される制度がある |
重要: 上記はあくまで一般的な枠組みのイメージであり、具体的な伸び率の基準値・割増率・対象となる助成金の範囲は、年度ごとの制度改正で変更されることが多い項目です。近年は生産性要件そのものを見直し・縮小・廃止する助成金も出てきているため、自社が申請を検討している助成金に生産性要件が現在も存在するか、存在する場合の具体的な基準値がいくつかは、厚生労働省が公表する当該助成金の最新の支給要領・パンフレットで必ず確認してください。本記事内の数値・基準は断定的な最新情報として使用しないようご注意ください。
生産性要件が関わる助成金の例
生産性要件は、雇用関係助成金のうち主に「雇用の安定・処遇改善・人材育成」に関連するコースで導入されてきた経緯があります。代表的な分野としては次のようなものが挙げられます。
- キャリアアップ助成金の一部コース
- 人材開発支援助成金の一部コース
- 両立支援等助成金の一部コース
ただしこれらの助成金においても、生産性要件の適用有無・内容は年度ごとの改正対象になりやすく、コースによって扱いが異なります。申請を検討している助成金について、生産性要件が現在適用されているかどうかは、必ず個別に確認する必要があります。
生産性要件を満たすための実務ポイント
生産性要件の判定には決算書類の数値を用いるため、日頃の会計処理・決算書の整備状況が判定結果に直結します。実務上のポイントは以下のとおりです。
- 1. 決算書類を正確に整備する: 営業利益・人件費・減価償却費・賃借料・租税公課の各項目を、会計基準に沿って正確に計上する
- 2. 比較対象年度の決算書を保管しておく: 生産性の伸びを判定するには複数年度の決算書が必要になるため、過去の決算書類を確実に保管しておく
- 3. 設備投資・人件費の変動を事前に把握する: 生産性の算定要素には設備投資(減価償却費)や人件費が含まれるため、大きな投資・採用計画がある場合は生産性への影響も踏まえて検討する
- 4. 金融機関からの評価が代替要件になる制度もある: 制度によっては、一定の借入等に関する金融機関の評価が生産性要件の代替として認められる場合があるため、該当するか確認する
- 5. 申請前に専門家へ試算を依頼する: 生産性の計算は決算書の複数科目にまたがるため、社会保険労務士など助成金実務に詳しい専門家に事前に試算してもらうと、割増の可否や対象コースの見極めがしやすくなる
よくある質問(FAQ)
Q1. 生産性要件はすべての助成金に適用されますか?
A. いいえ。生産性要件は一部の雇用関係助成金・コースに限定して適用される仕組みです。対象となるかどうかは助成金ごとに異なるため、申請を検討している制度の最新の支給要領で確認してください。
Q2. 生産性の計算に使う決算書は何年分必要ですか?
A. 一般的には直近の会計年度と、一定年数前(多くの制度で3年度前とされてきました)の会計年度の決算書を比較する枠組みが用いられてきました。ただし比較年数や算定方法は制度改正で変更される可能性があるため、最新の様式・記入要領を確認してください。
Q3. 生産性要件を満たさないと助成金自体を受け取れませんか?
A. 制度・コースによって扱いが異なります。生産性要件は「割増支給の可否」に関わる項目として設計されている場合が多く、要件を満たさないことが直ちに助成金全体の不支給に直結するとは限りませんが、詳細は該当助成金の最新の支給要領で確認する必要があります。
Q4. 創業直後で比較対象となる過去の決算書がない場合はどうなりますか?
A. 比較対象年度の決算書がない場合の扱いは制度によって定めがあるため、該当助成金の様式・記入要領、またはハローワーク・労働局への確認が必要です。
Q5. 生産性の計算を自社で行うのが難しい場合はどうすればよいですか?
A. 決算書の複数科目にまたがる計算になるため、助成金の実務に詳しい社会保険労務士など専門家に試算を依頼することで、正確な判定と対象コースの見極めがしやすくなります。
まとめ|助成金・補助金の申請はTrue Partnersに相談を
生産性要件は「営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課」を雇用保険被保険者数で割った値を過去の年度と比較し、支給額の扱いに影響を与える仕組みです。ただし対象助成金・基準値は制度改正で変わりやすいため、必ず最新の支給要領で確認することが欠かせません。決算書の整備や試算に不安がある場合は、専門家への相談も有効な選択肢です。
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