65歳超継続雇用促進コースで定年の定めを廃止すると、対象被保険者10人以上で最大240万円。70歳以上への定年引上げは45万〜140万円、66歳以上の継続雇用制度の導入は20万〜130万円。令和8年度の全3コースの支給額と、申請手順を解説。
少子高齢化が進む日本において、65歳以上のシニア人材の活用は人手不足解消の重要な鍵となっています。「65歳超雇用推進助成金」は、高齢者が65歳以降も継続して働ける環境を整備した企業に最大240万円(定年の定めを廃止し、対象被保険者が10人以上の場合)を支給する制度です。2026年度の最新情報をもとに、受給条件と申請手順を詳しく解説します。
65歳超雇用推進助成金とは?制度の目的と概要
65歳超雇用推進助成金は、厚生労働省が所管する雇用関係助成金です。65歳以上への定年延長・定年廃止・継続雇用制度の導入など、高齢者が長く働き続けられる雇用環境を整備した企業を支援することを目的としています。
制度の背景
2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法により、企業には70歳までの就業確保が「努力義務」として課されました。法的な義務ではないものの、先進的に高齢者雇用に取り組む企業を助成金でサポートする仕組みが整備されています。
2026年度の主なコース
| コース名 | 支給対象 | 最大支給額 |
|---|---|---|
| 65歳超継続雇用促進コース | 定年延長・定年廃止・継続雇用制度の導入 | 最大240万円 |
| 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース | 高齢者向け雇用管理制度の整備 | 60万円 |
| 高年齢者無期雇用転換コース | 有期雇用の高齢者を無期雇用に転換 | 40万円/人(中小企業) |
65歳超継続雇用促進コースの詳細
最も多く活用されているのが「65歳超継続雇用促進コース」です。このコースの内容を詳しく解説します。
対象となる措置の内容
| 措置の種類 | 内容 |
|---|---|
| 定年の引き上げ | 現行の定年年齢を65歳超に引き上げる |
| 定年の廃止 | 定年制度そのものをなくす |
| 継続雇用制度の導入・改定 | 65歳超まで雇用継続する制度を新設・改定 |
| 他社による継続雇用制度 | グループ会社等での65歳超継続雇用 |
措置の内容と支給額
65歳超継続雇用促進コースの支給額(令和8年度・中小企業を含む全企業共通)
| 実施した制度 | 対象被保険者1〜3人 | 4〜6人 | 7〜9人 | 10人以上 |
|---|---|---|---|---|
| 定年を65歳に引上げ | 15万円 | 20万円 | 25万円 | 30万円 |
| 定年を66〜69歳に引上げ(引上げ幅5歳未満) | 25万円 | 32万円 | 39万円 | 46万円 |
| 定年を66〜69歳に引上げ(引上げ幅5歳以上) | 40万円 | 65万円 | 110万円 | 135万円 |
| 定年を70歳以上に引上げ | 45万円 | 70万円 | 115万円 | 140万円 |
| 定年の定めの廃止 | 60万円 | 120万円 | 180万円 | 240万円 |
| 66〜69歳の継続雇用制度を導入(希望者全員) | 22万円 | 37万円 | 60万円 | 90万円 |
| 66〜69歳の継続雇用制度を導入(対象者基準あり) | 20万円 | 32万円 | 50万円 | 75万円 |
| 70歳以上の継続雇用制度を導入(希望者全員) | 40万円 | 65万円 | 105万円 | 130万円 |
| 70歳以上の継続雇用制度を導入(対象者基準あり) | 36万円 | 60万円 | 95万円 | 120万円 |
定年の定めを廃止し、対象被保険者が10人以上いる場合が最も高く、最大240万円を受給できます。定年引上げと継続雇用制度の導入を併せて実施した場合は、いずれか高い額のみが支給されます。(出典:JEED「65歳超継続雇用促進コース」、令和8年度の改正内容)
申請要件
- 1. 雇用保険適用事業主であること
- 2. 1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1名以上いること
- 3. 就業規則等で措置の内容を規定し、全従業員に周知していること
- 4. 制度の実施日の属する月の翌月から4か月以内の各月月初から15日までに申請すること
- 5. 高年齢者雇用安定法を遵守していること(同法第8条・第9条第1項と異なる定めをしていないこと)
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの詳細
制度の内容
高年齢者の雇用管理制度(職業能力評価を活用した賃金・人事処遇制度、労働時間制度、研修制度、健康管理制度など)を整備した企業が対象です。令和8年度から、受給額は定率助成から定額助成に変わりました。
整備できる制度の例:
- 高齢者向けの能力・業績評価制度
- 高齢者の技能・経験を活かした配置転換制度
- 高齢者が働きやすい職場環境改善(エルゴノミクス改善等)
- 短時間・短日数勤務制度(高齢者向け)
支給額
| 実施した措置 | 中小企業 | 中小企業以外 |
|---|---|---|
| 措置(1)高年齢者の職業能力評価を活用した賃金・人事処遇制度の導入・改善 | 60万円 | 45万円 |
| 措置(2)〜(6)労働時間制度・在宅勤務・研修制度・健康管理制度などの導入 | 30万円 | 23万円 |
高年齢者無期雇用転換コースの詳細
制度の概要
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた事業主に支給されるコースです。
| 対象者 | 支給額(1人あたり) |
|---|---|
| 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者(有期での雇用期間が通算1年以上5年以内) | 40万円(中小企業以外は30万円) |
1事業所あたり年間10人まで申請可能です。
申請要件
- 有期雇用労働者を無期雇用に転換する制度を就業規則等に規定していること
- 転換後も継続して6ヶ月以上雇用していること
- 転換前後で雇用形態を除く労働条件が不利にならないこと
申請手順と必要書類
ステップ1:措置の実施・制度の整備
まず実際に定年延長や継続雇用制度の改定を行います。就業規則の変更が必要な場合は、労働者代表への意見聴取と労働基準監督署への届出を済ませておきましょう。
ステップ2:支給申請書の提出
65歳超継続雇用促進コースの場合:
制度の実施日(改正後の就業規則の施行日)が属する月の翌月から4か月以内の、各月の月初から15日までに申請します。実施日が属する月は申請期間に入りません。
必要書類一覧:
| 書類 | 内容・備考 |
|---|---|
| 支給申請書(様式第1号) | 所定様式に記入 |
| 高年齢者雇用状況等報告書(直近) | ハローワークへの届出控え |
| 就業規則(変更前・変更後の両方) | 定年条項が確認できるもの |
| 就業規則変更届(受付印あり) | 労基署への届出控え |
| 労働者代表の意見書 | 就業規則変更時 |
| 登記事項証明書 | 法人の場合 |
| 雇用保険適用事業所設置届 | 雇用保険適用を証明 |
| 賃金台帳・出勤簿 | 直近3ヶ月分 |
ステップ3:審査・支給
書類審査後、問題がなければ数ヶ月以内に支給決定の通知が届き、指定口座に振り込まれます。
高齢者雇用を進める企業の取り組み事例
製造業(従業員50名)の事例
65歳の定年を70歳に引き上げ(5歳引き上げ)。ベテラン職人の技術が継承されると同時に、対象被保険者の人数に応じた額(45万〜140万円)を受給。
介護事業者(従業員30名)の事例
定年廃止を実施し、対象被保険者の人数に応じた額(60万〜240万円)を受給。65歳以上のベテラン介護士が継続勤務することで採用コストが削減され、利用者サービスの質も向上。
小売業(従業員20名)の事例
有期雇用のシニアパート4名を無期雇用に転換。無期雇用転換コースで1人あたり40万円、計160万円を受給。定着率が向上し、採用広告費を大幅削減。
他の助成金・制度との組み合わせ
| 組み合わせ | 相乗効果 |
|---|---|
| 特定求職者雇用開発助成金(高齢者枠) | 新規採用 + 雇用制度整備でダブル受給 |
| 人材確保等支援助成金 | 雇用管理制度整備 + 高齢者雇用推進 |
| 高年齢者雇用安定法の努力義務達成 | 法令遵守 + 助成金受給の両立 |
まとめ|助成金活用はTrue Partnersにお任せください
65歳超雇用推進助成金は、高齢者が長く活躍できる職場環境を整備しながら最大240万円の助成を受けられる優れた制度です。2026年度も定年廃止・定年延長・継続雇用制度の整備に対する支援が継続される見込みです。人手不足解消とシニア人材の活用を同時に実現するために、ぜひ本助成金の活用を検討してください。就業規則の改定や申請書類の準備には専門家のサポートが有効です。
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