「キャリアアップ助成金を使いたいけど、どんな書類が必要か」「申請の手順がわからない」という経営者の方に向けて、2025年時点の最新情報をもとに申請の流れと必要書類を徹底解説します。
パートやアルバイトを正社員に登用しているなら、1人あたり最大80万円を受け取れる可能性がある制度です。条件を満たせばほぼ確実に支給されるため、活用しない理由はありません。
キャリアアップ助成金とは?基本を押さえよう
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者(パート・アルバイト・契約社員)のキャリアアップを支援するための助成金です。厚生労働省が管轄しており、要件を満たせば審査不要で支給されます(補助金とは異なり「採択競争」がない点が大きな特徴です)。
主なコース一覧
| コース名 | 概要 | 支給額(中小企業)目安 |
|---|---|---|
| 正社員化コース | 有期雇用→正社員転換 | 1人あたり最大80万円 |
| 賃金規定等改定コース | 賃金規定の改定で賃上げ | 1人あたり最大4万円(複数名可) |
| 賃金規定等共通化コース | 正規・非正規の賃金規定統一 | 1事業所あたり最大72万円 |
| 諸手当制度等共通化コース | 手当の適用範囲を非正規にも拡大 | 1事業所あたり最大72万円 |
| 健康診断制度コース | 有期雇用者への健康診断実施 | 1事業所あたり最大48万円 |
| 短時間労働者労働時間延長コース | 短時間労働者の所定労働時間延長 | 1人あたり最大22.5万円 |
最も活用されているのが正社員化コースです。本記事ではこのコースを中心に解説します。
正社員化コース:申請の全体像
支給要件まとめ
正社員化コースを受給するために必要な主な条件は以下の通りです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 雇用保険の加入 | 事業主・対象労働者ともに加入が必要 |
| 有期雇用期間 | 転換前に6ヶ月以上の有期雇用期間があること |
| キャリアアップ計画の提出 | 転換前に「キャリアアップ計画書」を労働局に提出 |
| 就業規則への規定 | 正社員転換制度が就業規則に明記されていること |
| 賃金の増額 | 転換後に基本給が3%以上増額されていること |
| 転換後の継続雇用 | 転換後6ヶ月以上雇用を継続していること |
特に重要なのは「キャリアアップ計画書を転換前に提出する」点です。 転換後に提出しても支給されません。
申請の手順(ステップごとに解説)
STEP 1|キャリアアップ計画書の作成・提出
転換を実施する前に、都道府県労働局またはハローワークに「キャリアアップ計画書」を提出します。
キャリアアップ計画書に記載する主な内容:
- 事業所の基本情報
- キャリアアップの対象労働者
- 目標(転換・賃上げなど)と実施期間
- 実施する取り組みの内容
計画書の様式は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。初めて作成する場合は、ハローワークの担当者に相談しながら記入するとスムーズです。
STEP 2|就業規則の整備
キャリアアップ計画書の提出と並行して、就業規則に正社員転換制度に関する規定が明記されているか確認します。
記載が必要な主な内容:
- 転換の対象者(有期雇用◯ヶ月以上など)
- 転換の手続き・審査方法
- 転換後の待遇(給与・勤務形態など)
就業規則の変更・整備が必要な場合は、社会保険労務士に依頼するか、厚生労働省の「就業規則モデル」を参考に作成します。
STEP 3|対象者の正社員転換
計画書提出後、対象となるパート・アルバイト・契約社員を正社員(または無期雇用フルタイム等)に転換します。
この時点で確認すべきポイント:
- 転換前6ヶ月の賃金台帳・出勤簿を保管しておく
- 転換後の雇用契約書を締結する
- 転換後の基本給が転換前より3%以上増額されているか確認
STEP 4|転換後6ヶ月間の雇用継続
転換後6ヶ月間、継続して雇用します。この期間中の賃金台帳・出勤簿・給与明細を必ず保管してください。支給申請時に提出が必要です。
STEP 5|支給申請書の提出
転換後6ヶ月が経過したら、支給申請を行います。申請期限は転換後6ヶ月の賃金支払い日の翌日から2ヶ月以内です。
申請先:管轄の都道府県労働局またはハローワーク
正社員化コースの必要書類一覧
申請に必要な書類は多岐にわたります。事前に揃えておくとスムーズです。
必須書類
| 書類名 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 支給申請書 | 厚生労働省所定の様式(最新版を使用) |
| キャリアアップ計画書(提出済みのもの) | 受理印があるもの |
| 転換日が確認できる書類 | 労働条件通知書・雇用契約書など |
| 転換前6ヶ月分の賃金台帳 | 月ごとの支払い記録 |
| 転換後6ヶ月分の賃金台帳 | 同上 |
| 転換前6ヶ月分の出勤簿 | タイムカード・シフト記録など |
| 転換後6ヶ月分の出勤簿 | 同上 |
| 就業規則(転換制度に関するページ) | 届け出済みのもの(受理印あり) |
| 労働者名簿 | 対象者が記載されているもの |
| 登記事項証明書(法人の場合) | 3ヶ月以内のもの |
状況によって追加が必要な書類
| 状況 | 追加書類 |
|---|---|
| 有期雇用期間が通算6ヶ月以上 | 入社時の雇用契約書、更新契約書 |
| 試用期間がある場合 | 試用期間の雇用契約書 |
| 複数名を同時申請する場合 | 対象者ごとの書類一式 |
申請でよくあるミスと対策
ミス① キャリアアップ計画書を事後提出した
対策: 転換を決めたら、まず計画書を提出することを最優先にする。転換後の提出では受理されません。
ミス② 賃金台帳・出勤簿の保管漏れ
対策: 転換前6ヶ月から保管を開始する。電子データでも可だが、改ざん防止のため原本の保管が望ましい。
ミス③ 転換後の賃上げが3%未満だった
対策: 転換前の基本給を確認し、転換後の給与額を事前に計算する。3%増は最低ラインのため、余裕を持って設定する。
ミス④ 申請期限を過ぎた
対策: 転換日のカレンダー管理を徹底する。申請期限は「転換後6ヶ月の賃金支払い日の翌日から2ヶ月以内」。期限を過ぎると支給されません。
ミス⑤ 就業規則の規定が不十分だった
対策: 申請前に就業規則を確認し、転換制度の規定が適切に記載されているか確認する。必要に応じて社労士に確認依頼。
受給額の計算例
ケース1:パート1名を正社員に転換
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 転換前 | パートタイム(週30時間、時給1,200円) |
| 転換後 | 正社員(月給22万円) |
| 受給額 | 80万円(中小企業の正社員化コース) |
ケース2:有期契約社員3名を正社員に転換
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象人数 | 3名 |
| 受給額目安 | 80万円 × 3名 = 最大240万円 |
| ※ 年度内支給上限あり | 1事業所あたり20名が上限(2025年時点) |
複数名まとめて転換することで、まとまった金額を受給できます。
申請代行(社労士活用)を検討すべきケース
キャリアアップ助成金は「要件を満たせばもらえる」制度ですが、書類が多く手続きが煩雑なため、申請を誤ると受給できないリスクがあります。
以下に当てはまる場合は申請代行(社会保険労務士)の活用を検討してください。
- 初めての申請で手続きに慣れていない
- 就業規則の整備が必要
- 複数名を同時に申請したい
- 本業が忙しく書類作成に時間をかけられない
社労士への依頼費用の目安:
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 着手金 | 0〜5万円 |
| 成功報酬 | 受給額の10〜20%(8〜16万円程度) |
受給額80万円に対して費用が10〜16万円程度であれば、手間と時間を考えると依頼する価値は十分あります。
よくある質問(FAQ)
Q. パートを1名しか雇っていませんが申請できますか?
A. 対象者が1名でも申請できます。転換条件を満たしていれば、1名から受給可能です。
Q. 就業規則がない(作成していない)場合は?
A. 常時10名以上の労働者がいる場合は就業規則の作成・届け出が義務です。10名未満でも作成が必要です。就業規則がない場合は、まず作成・届け出を行う必要があります。
Q. 複数のコースを同時に申請できますか?
A. 要件を満たしていれば複数コースの同時申請が可能です。ただしコースごとに書類の用意が必要です。
Q. 申請から入金まで何ヶ月かかりますか?
A. 一般的に申請から2〜6ヶ月程度かかります。書類の不備があると審査が長引く場合があります。
Q. 転換後に退職した場合はどうなりますか?
A. 支給申請前に対象者が退職した場合、支給要件を満たさないケースがあります。転換後6ヶ月の雇用継続が必要です。
まとめ:申請のポイント3つ
- 1. 転換前にキャリアアップ計画書を提出する(これが最重要)
- 2. 転換前後6ヶ月分の賃金台帳・出勤簿を保管する
- 3. 申請期限(転換後6ヶ月の賃金支払い日の翌日から2ヶ月以内)を守る
この3点を押さえるだけで、受給確率は大きく上がります。「手続きが難しそう」と感じたら、社労士や専門家への相談を検討してください。
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