「採用したいけれどコストが心配」という中小企業経営者に知ってほしいのが、特定求職者雇用開発助成金です。高齢者や障害者、ひとり親家庭の方など、就職に困難を抱える人材を採用することで、国から最大240万円の助成を受けられる制度です。2026年度の最新情報をもとに、制度の全体像と申請方法を解説します。
特定求職者雇用開発助成金とは?制度の仕組みと対象者
特定求職者雇用開発助成金(特開金)は、厚生労働省が所管する雇用関係助成金です。ハローワークや職業紹介事業者などの紹介により、就職が困難な特定の求職者を雇い入れた事業主に対して支給されます。
助成金の目的
就職困難者の雇用機会を確保し、安定的な就労を促進することが目的です。雇用する企業側にとっては採用コストの削減になり、求職者側にとっては雇用の機会が広がるという、双方にメリットのある制度設計です。
対象となる求職者の種類
| 対象区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 高齢者(60歳以上65歳未満) | 定年後の継続雇用ではなく新規雇用が対象 |
| 障害者(身体・知的・精神) | 各種障害者手帳所持者 |
| 母子家庭の母等 | ひとり親で養育者である方 |
| 父子家庭の父 | ひとり親で養育者である方 |
| 生活保護受給者 | 福祉事務所等からの紹介が必要 |
| 児童養護施設退所者 | 退所後2年以内の方 |
| ホームレス | 日雇い的就労者を除く |
| 認定長期失業者 | 45歳以上で就労経験3年以上の長期失業者 |
コース別の支給額と助成期間【2026年度最新版】
特定求職者雇用開発助成金には複数のコースがあり、雇い入れる求職者の属性や雇用形態によって支給額と助成期間が異なります。
一般コース
| 対象者 | 中小企業 | 大企業 | 助成期間 |
|---|---|---|---|
| 60歳以上65歳未満の高齢者 | 60万円 | 50万円 | 1年 |
| 母子家庭の母等 | 60万円 | 50万円 | 1年 |
| 障害者(短時間労働者以外) | 120万円 | 50万円 | 1.5年 |
| 重度障害者等 | 240万円 | 100万円 | 3年 |
特定就職困難者コース(短時間労働者)
週所定労働時間が20時間以上30時間未満のパート・アルバイトとして雇用した場合にも助成が受けられます。
| 対象者 | 中小企業 | 大企業 | 助成期間 |
|---|---|---|---|
| 高齢者・母子家庭等 | 40万円 | 30万円 | 1年 |
| 障害者 | 80万円 | 30万円 | 1.5年 |
生活保護受給者等雇用開発コース
生活保護受給者やホームレスを雇い入れた場合の特別コースです。
| 雇用形態 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 一般(週30時間以上) | 30万円 | 20万円 |
| 短時間(週20〜30時間未満) | 20万円 | 10万円 |
申請の条件・受給要件を詳しく解説
必須条件:ハローワーク等の紹介であること
特開金の最も重要な条件は、ハローワーク、地方運輸局、民間の職業紹介事業者などを通じた紹介であることです。自社の独自採用活動(求人サイト・縁故採用など)で採用した場合は対象外となります。
雇用保険の適用要件
- 雇用保険の一般被保険者として雇い入れること
- 週所定労働時間が20時間以上であること
- 雇用期間が2年以上見込まれること(有期雇用の場合は更新前提)
対象外となるケース
| NG パターン | 理由 |
|---|---|
| 解雇後6ヶ月以内の再雇用 | 同一または関連事業所からの再雇用は対象外 |
| 代表者・役員の家族 | 生計を一にする親族は対象外 |
| 紹介状なしの採用 | ハローワーク等の正式な紹介なしは不可 |
| 助成金申請前の解雇者再雇用 | 6ヶ月以内に解雇した人員がいる場合 |
申請手順と必要書類
ステップ1:求人登録とハローワークへの相談
まずハローワークに求人票を提出し、特開金の対象となる求職者への紹介を依頼します。この段階で「どの区分の対象者を採用したいか」を明確にしておくと手続きがスムーズです。
ステップ2:採用・雇用開始
紹介状を持参した求職者を採用し、雇用保険の被保険者として雇い入れます。採用決定後は速やかに「雇入れ通知書」などの書類を整備しましょう。
ステップ3:支給申請(助成対象期ごと)
助成金は6ヶ月ごとの分割支給が基本です。各支給対象期の末日から2ヶ月以内に支給申請書を提出します。
第1回申請に必要な主な書類:
- 支給申請書(様式1号)
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写し
- 労働契約書または雇い入れ通知書の写し
- 賃金台帳・出勤簿(助成対象期間分)
- 紹介状の写し(ハローワーク等発行のもの)
- 求職者の対象区分を証明する書類(手帳の写し等)
ステップ4:継続雇用の確認
2回目以降の申請は、継続して雇用していることを確認する書類(賃金台帳・出勤簿)を提出します。
特開金を最大限活用するための採用戦略
採用計画に組み込む
特開金は「採用後に申請する」制度ではなく、「採用計画の段階から活用を念頭に置く」制度です。年間の採用計画の中に特開金の対象者枠を設けることで、計画的な助成金受給が実現します。
障害者雇用と組み合わせる
特開金の障害者コースは、法定雇用率(現在2.5%)の達成にも貢献します。助成金を受給しながら法定雇用率もクリアできるため、一石二鳥の効果があります。
| 従業員数 | 法定雇用率2.5%での必要人数 |
|---|---|
| 40人以上 | 1人以上 |
| 80人以上 | 2人以上 |
| 120人以上 | 3人以上 |
| 200人以上 | 5人以上 |
他の助成金との組み合わせ
| 組み合わせ助成金 | 相乗効果 |
|---|---|
| 障害者雇用安定助成金 | 職場定着支援コストも助成 |
| 人材確保等支援助成金 | 雇用管理制度整備と組み合わせ |
| トライアル雇用助成金 | 試行雇用から正式採用へのステップ |
特開金活用の失敗事例と対策
失敗例1:紹介状なしで採用してしまった
対策:採用面接前にハローワークへの求人登録を済ませ、必ず紹介状を通じた採用にすること。
失敗例2:書類整備が不十分で審査に通らなかった
対策:雇用開始時から出勤簿・賃金台帳を整備し、6ヶ月分をまとめて提出できるよう管理する。
失敗例3:申請期限を過ぎてしまった
対策:カレンダーに申請期限を登録し、社内で担当者を明確にしておく。専門家に依頼する場合は早めに相談を。
まとめ|助成金活用はTrue Partnersにお任せください
特定求職者雇用開発助成金は、中小企業が採用コストを抑えながら多様な人材を確保するための優れた制度です。2026年度も高齢者・障害者・ひとり親家庭の方を雇用した場合に最大240万円の助成を受けられます。ハローワークを通じた採用という条件さえ守れば、多くの企業で活用可能です。計画的な採用戦略と書類管理が成功の鍵となりますので、専門家の力を借りることも検討してみてください。
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